八木通商の社長インタビュー マッキントッシュ、モンクレールを育てた商社の世界戦略とは

  • 2019年10月07日更新
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八木通商の歴史とは?ブランドビジネスの源流は70年代に

1970~1980年代 円高を機に輸出から輸入へ

 1970年代、ニクソンショック後の変動相場制移行による円高ドル安が起こるまで、八木通商のビジネスは他の繊維専門商社と同じく、日本で生産した糸やテキスタイルの輸出が中心だった。香港を窓口に、欧米や南米、中東市場へのテキスタイル販売で地歩を築いた

 輸出ビジネスに逆風が吹き始めたときが、同社にとっての最初のターニングポイントだった。これを機にアメリカのレザースニーカーやカナダのダウンジャケットの輸入を始め、続いて欧州からの高級ファッション製品の輸入へと乗り出した。

 73年に輸入服飾部門を設立。前後する時期に開設したミラノやニューヨークなど欧米の海外拠点は、日本の糸やテキスタイルを現地ブランドに販売するのが目的だったが、円高の進行とともに輸入製品を見つけるための重要な拠点となった。

1980~2000年代 流通構造の変化を先取りする

 これらの海外は、85年のプラザ合意を契機とした一層の円高局面において決定的な武器になっていく。パリのオートクチュールブランド「グレ(GRES)」のほか、ニューヨークのデザイナーとして勢いのあった「ペリーエリス(Perry Ellis)」、イタリアの「ヘンリーコットンズ(Henry Cottons)」などをいち早く日本に紹介できたのもこうした海外の拠点があったからだ。

 80年代に入ると、高級婦人服を扱っていた専門店も海外生産を活用した商品企画に乗り出し、八木通商の製品OEMが急成長した。中国に合弁工場を設立したのは天安門事件が起きた1989年の頃だ。90年代前半には欧米からの高級インポートと、専門店向けの海外OEM事業が同社の繊維事業を支える車の両輪になった。

 こののち日本の流通構造の変化がさらなる変革を促す。大手商社によるブランドビジネスへの参入増加や、大手海外ブランドの日本への直接進出だ。競合が激しくなる中、小売業でもセレクトショップが台頭しはじめる。

2000年~現在 ブランドを育てるモデルを確立

 それまでは国内卸商への販売が主力だった八木通商は、欧米での商品調達の目利きのレベルを上げ、セレクトショップを中心に小売店への直接販売にもビジネスを拡大。90年代後半から00年代にかけて、「モンクレール(MONCLER)」や「マッキントッシュ(MACKINTOSH)」など今も続く主力ブランドを次々に導入した。

 07年には英国マッキントッシュ社を子会社化し、09年には合弁でモンクレール ジャパンを設立した。10年代には、銀座や青山といった一等地での旗艦店開設も相次いだ。

 「モンクレール」はラグジュアリーブランド化し、「マッキントッシュ」は「マッキントッシュ フィロソフィー」「マッキントッシュ ロンドン」といったライセンスビジネスを加えるまでに発展を遂げた。また「J&Mデヴィッドソン」や「アレクサンドル ドゥ パリ(Alexandre de Paris)」などのウェア以外のブランドにも投資して日本国内だけでなく海外でもブランド展開を推進し、ビジネスを進化させている。

ビジネスパートナーが語る八木通商

レモ・ルッフィーニ氏 モンクレール会長兼クリエイティブディレクター

 八木社長との真の友情と価値のあるパートナーシップに感謝をしたいと思います。八木社長と知り合ってから長い年月が経ちますが、初めて会った時からお互いに理解しあえたというのは信じられないことです。緻密なリサーチや人々を驚かすクリエイティビティ、次々と現れるより高いレベルの要求が我々を新しい挑戦に誘ってくれました。私たちは共に戦い、多くの困難を乗り越えブランドビジネスを成功させてきたのです。70周年おめでとうございます。

設楽洋氏 ㈱ビームス 代表取締役社長

 八木通商は生地の取引などで古くから間接的な関係があり、本格的な製品取引は20年程前で イタリアの「ORIAN」と「GTA」から始まりました。どちらも今では知名度の高いブランドになりましたが、当時は知る人ぞ知るというブランドで、八木通商が扱うことで日本でのブランドの認知度も上がりました。

 その後、数多くのブランドで取引をすることになり現在に至りますが、そのブランドの中には八木通商が再生したと言えるブランドも少なくありません。 それは、単にブランドを日本に持ってくるだけでなく、我々リテーラーと共に日本のマーケットに合うモノを作りあげてきたことで、結果的に日本的なこだわりが欧米でも評価され、それらのブランドが現地でも一目置かれる存在になりました。 このように、ブランドの持ち味を引き出し、ブランドの価値を引き上げるソフトを持っている商社は少なく、それが八木通商の強みではないかと思います。そして、今までの日本の商社が出来なかったビジネスモデルを八木通商が作り上げたと言っても過言ではないと思います。

八木通商の最新ニュース

ニューヨーク・マディソンアベニューにマッキントッシュ直営店を開設

 英国のゴム引きコートで有名な「マッキントッシュ」は、17年春にニューヨーク・マディソンアベニューに直営店をオープンする。ロンドンのコンドゥイット・ストリート店、東京の青山店と共に3店舗目。世界を代表する高級ファッションエリアに旗艦店出店を進めている。

住所:833 Madison Ave.,New York,USA

ローマに現存する紀元前のピラミッド修復を支援

 八木通商は、ミラノオフィスの開設40周年を記念してイタリア・ローマ市のケスティウスピラミッドの修復を単独支援した。この遺跡はローマに唯一現存するピラミッドで、ローマ帝国時代の紀元前18~12年の間に建造され、基底部の一辺は30メートル、高さは36.4メートル。排気ガスによる汚れなどが目立っていたが、今回の修復で「白いピラミッド」として甦った。

八木雄三社長がイタリア共和国功労勲章グランデ ウッフィチャーレを受勲

 八木雄三社長は、16年7月にイタリア共和国政府から国家功労勲章グランデ ウッフィチャーレを受勲した。同勲章は外国民間人への叙勲としては最高位のもの。長年のイタリアとの輸入取引への評価に加え、イタリア北部の繊維産地が生み出す優れた製品を発掘し、人気ブランドに育てあげたビジネス手腕が認められたもの。加えて、同政府が進める国内の歴史的文化遺産修復を支援したことへの感謝も込められている。

☆八木雄三社長はこれまでも、イタリア共和国政府からガバリエレ(96年)、コメンダトーレ(11年)を、フランス共和国政府からシュバリエ(97年)、オフィシエ(04年)、英国政府からは名誉大英勲章OBE(11年)を受勲している。

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