【19年度ファッション・アパレル業界調査】商社の繊維事業 26社合計で8%減収 売上高1000億円超えは8社

  • 2020年09月30日更新
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
S624x416 shutterstock 1820990618

センケンjob新卒を運営する繊研新聞社は商社の19年度繊維事業業績アンケートを実施しました。繊維事業売上高(連結および単体)の回答企業26社の大半が減収となりました。26社の売上高合計は2兆4893億円で18年度比8.1%減。18年度の26社合計は2兆7057億円であり、1年間で2100億円以上が減った計算です。上期は比較的堅調でしたが下期に入り、暖冬による秋冬物の不振、10月の消費増税、そこに新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかけました。

【関連記事】【18年度ファッション・アパレル業界調査】商社の繊維事業 上位、中堅で目立つ増収

■OEMなど苦戦

ここ数年で最も低かったのは、衣料品不振で回答全社が減収だった16年度。そこから徐々に盛り返し、上位企業は増収基調、下位企業が減収傾向で格差が徐々に広がっていました。しかし19年度は売上高の上位、下位を問わず10%以上の減収も多く、総じて厳しい状況です。

26社中増収を確保したのは豊島、八木通商、チクマの3社のみ。そのうち豊島は19年6月期、チクマは19年11月期のためコロナの影響は反映されていません。八木通商は「モンクレール」や英国ブランド「バブアー」が好調で増収ですが、「運営する小売店が100ほどになっています。セール期にコロナで販売できず痛かった」(八木雄三社長)と経常利益は半減しました。

繊維事業の売上高が1000億円を超えたのは蝶理までの8社。18年度は10社でモリリン、GSIクレオスが1000億円を割り込みました。比較的堅調なのは、スポーツ・アウトドアやユニフォーム・ワーキングウェア向けなどですが、全体に良いわけではなく企業格差や需要の一巡などでまだら模様です。苦しいのは、カジュアルウェア、メンズ重衣料といったアパレルOEM(相手先ブランドによる生産)に加え、成長を期待していたエアバッグなどの自動車関連がコロナで自動車生産が滞り厳しい状況です。成長、投資の刈り取りが数年遅れそうです。

■基礎収益力の差

伊藤忠商事繊維カンパニーの単体売上高は2689億1700万円、連結ベース(IFRS)の外部顧客からの収益は5374億円で9.5%減。純利益は18年度の298億円から91億円へと大きく減りました。アパレル関連事業や繊維原料など全体的に苦戦。前期の海外アパレル関連事業の売却益の反動や海外債券への引当金などリスクを減らすための処理も行いました。

コロナの影響が色濃く出るのは大半が今期。もともと今期は衣料品の大量生産、大量廃棄への対応が課題になっており、「アパレル、小売りが発注を絞ってくる」と想定していました。そこにコロナ禍。顧客の店舗の休業とそれによる在庫過多、今秋冬物発注の抑制、今春夏在庫の持ち越しによる21年春夏発注の抑制などで、売り上げの大きな減少が予想されます。経費の削減や在庫の圧縮、与信管理の徹底などを進めるが利益率が高くないだけに利益面もかなり厳しい状況です。

今期の業績予想を出した企業では、蝶理の経常利益見通しは前期比19%減の70億円。「もちろんコロナで大変だが、数年かけて体質強化してきた。その成果が出ており、コロナがなければ今期100億円の経常利益を出せるまでになっていた」と先濵一夫社長。伊藤忠商事繊維カンパニーは大きく落ち込んだ純利益を230億円まで回復させる計画です。コロナでアパレル関連を中心に販売苦戦が続くと見ていますが、経費の削減や一過性損失の反動などで盛り返す予定です。この間、厳しい事業環境下でも安定して利益を出せるよう基礎収益力を高めてきたか、否か。苦しい時こそ大きな差になって表れてきます。

(繊研新聞20年7月15日付より)

    関連する記事

    この記事に関連するキーワード

    話題のキーワードキーワード一覧

    月間ランキング月間アクセスランキング

    週間ランキング週間アクセスランキング