【アパレル業界研究】 専門店編 日本のファッション市場で専門店のシェアが高い理由は?

  • 2017年10月12日更新
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衣料品を中心にファッション商品の販売に特化した専門店は、日本の市場において百貨店や量販店を押さえ、もっとも大きいシェアを占めます。衣料消費市場の規模がそれほど大きく伸びていない過去10年間で見ても、大手企業を中心に成長が続いています。

専門店を構成する主要企業や商品分野ごとの市場での規模、今後の見通しについて見ていきます。

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専門店のシェアが高い理由は? 強みに特化して狙う客層から支持

ジーユー

当サイト「センケンjob新卒」を運営する繊研新聞社では、服を中心にファッション商品の販売に特化した小売店を専門店と定義しています。個人経営の店ばかりではなく、カジュアル服を売るチェーン店の「ユニクロ」、郊外ではおなじみの「しまむら」、リクルート向けを含めスーツを売る「洋服の青山」、セレクトショップの「ビームス」など、売上高が数百億~数千億円の企業まで、これらはすべて専門店です。

繊研新聞社が実施した「専門店ランキング調査」の最新のデータでは、前年実績と比較可能な回答企業127社の売上高合計は4兆3647億円でした。毎年行う調査は、日本の専門店の売上高のおよそ8割をカバーしています。

その調査で売上高上位を占めた20社の個別の売上高と主力商品をまとめたのが下記の表です。1位のユニクロは16年8月期実績ですが、日本での売上高が8000億円近くに達しており、百貨店や量販店を含め日本のファッション小売りではトップの規模を誇ります。

1~20位までの売上高合計は、回答のあった127社の合計売上高の8割を占めます。その意味で、専門店の市場は大手企業による寡占化の傾向が顕著と言えますが、20位までには主力商品やターゲット客が異なる企業がひしめいています。

ユニクロは定番のカジュアル衣料が主力ですし、しまむらやジーユーは、トレンド要素も取り入れた、デイリーに使う廉価な服、アダストリアは女性向けの様々なカテゴリーの服が中心で、青山商事やAOKIホールディングスは、主にオフィスで着用する仕事着としてのスーツ、ビームスやユナイテッドアローズ、ベイクルーズなどはファッションに関心の強い客層向けのセレクトショップの会社です。

つまり、幅広い客層に向けた品揃えの百貨店や量販店と違い、専門店は、特定のジャンルに絞った商品に特化することで、狙う客層からの支持を得て、成長を遂げたのだということが言えます。

加えて、90年代以降は、郊外のショッピングセンターや都心のファッションビルなど、商業施設の開業が続いたこともあって、専門店にとっての出店立地が拡大し、店舗数が増え、結果として売り上げ規模が伸びたということもあります。

順位 企業名 売上高 業種
1 ユニクロ 799,817( 2.5) カジュアル
2 しまむら 559,329( 3.5) 複合
3 良品計画 249,515(10.1) 複合
4 アダストリア ◎ 203,686( 1.8) レディス
5 青山商事 189,650(▼0.0) メンズ
6 ジーユー 187,800(32.7) カジュアル
7 ユナイテッドアローズ ◎ 145,535( 3.3) 複合
8 西松屋チェーン 136,273( 2.6) 子供服
9 AOKIホールディングス ◎ 118,264( 3.7) メンズ
10 パルグループホールディングス ◎ 116,457( 5.5) 複合
11 サザビーリーグ ◎ 104,000( 5.7) 複合
12 ベイクルーズグループ ◎ 100,081(10.2) 複合
13 ライトオン 86,462(10.5) カジュアル
14 ビームス 74,450( 5.2) 複合
15 コナカ ◎ 69,633( 0.7) メンズ
16 三喜 ◎ 65,983( 9.5) 複合
17 バロックジャパンリミテッド 62,970(▼0.7) 複合
18 アーバンリサーチ 62,500(13.6) 複合
19 マッシュホールディングス ◎ 58,009(20.6) レディス
20 はるやまホールディングス ◎ 55,942( 2.9) メンズ

表の見方:単位百万円、カッコ内は前期比伸び率%、▼減、各社の売上高は17年6~7月実施のアンケート調査時点での直近業績による、◎連結決算(繊研新聞17年8月4日掲載、専門店ランキング調査から)

売り上げ規模の伸びを支えているのは? 2強とセレクト、スーツ専門店がけん引

個別企業で見ると、レディス主力のアダストリアや生活関連製品全般を扱う良品計画、ベビー・子供服と関連用品を扱う西松屋チェーンなども成長し、大手専門店の一角を占めるまでになっています。

ただ、ファッション市場に占める専門店の売り上げ規模を底上げする役割を果たしたという点ではユニクロ、しまむらの成長が大きいと言えます。グラフはユニクロ、しまむらに加え、業態として複数企業の業績を合計して算出した、セレクトショップ、スーツ専門店、カジュアル専門店チェーンの売上高の10年推移です。

ユニクロの店舗

ユニクロは、10年から11年にかけて売上高の伸びが踊り場を迎えたものの、その後は再び伸び始め、07~16年までで日本国内での売り上げ規模は1.8倍まで拡大しました。しまむらもこの10年で日本での売上高が1.5倍となっており、2社だけで専門店市場の4分の1程度のシェアを占めます。

単独企業ではありませんが、この10年で最も規模が拡大した専門店がセレクトショップです。飲食や生活雑貨を売る業態を擁する企業もありますが、比較的高単価のファッション商品を仕入れ商品とオリジナルで販売、ターゲット客のニーズを満たしたことが要因と言えます。

この結果、専門店ランキング調査に回答のあったセレクトショップ各社の合計売上高は、この10年でセレクトショップの売り上げ規模は倍増しており、市場でも存在感が際立っています。

スーツ専門店の売上高は、ランキング調査企業に回答のあった各社の合計売上高が10年で16%程度拡大しました。各社とも仕事着として着るスーツに加え、一定のトレンド要素を加えたドレスウェアの業態も開発し、ここ数年では就活用のリクルートスーツ需要も一手に担うことでシェアを拡大してきました。

セレクトやスーツ専門店とは逆に10年前と比べると勢いがないのがカジュアル専門店チェーンです。繊研新聞の専門店ランキング調査に回答した企業の売上高合計は、09年以降2000億円以下で推移しています。

各社の業績は、MDの刷新などの努力を通じ、直近2年は若干回復していますが、ユニクロやしまむら、ジーユーなど規模の大きい専門店やトレンドを意識した中堅規模の専門店やブランドのシェアが拡大していることの影響が大きいようです。

シェアは今後どうなる? 緩やかな拡大続くが上位の顔ぶれに変化も

衣料消費市場全体に占める専門店の売上高シェアは5割を超えており、今後もシェアは高まっていくと思われます。

グラフは06~15年までの日本の衣料品消費市場全体とその中に占める専門店のシェアの推移を表したものです。全体の市場規模は07年の9兆6500億円がピークでその後、リーマンショックのあった08年以降、10年まで縮小が続きました。

07年の市場全体に占める専門店のシェアは44.5%でした。その後09、10年は売り上げ規模自体も前年に比べ減りましたが、12年以降、市場全体の伸び率を上回って成長し、13年以降、全体に占めるシェアは5割を超える水準で推移しています。

市場全体の伸びに比べ、成長率が高かった要因は、これまで見てきた通り、特定の客層に向けた商売をしている企業が多く、マクロ景気の変動などに伴う顧客のニーズ変化に対応した施策を打つことが、総合小売業である百貨店や量販店に比べ、速く出来た点が大きいと思われます。

また、こちらも前述したように、専門店にとっての出店立地であるモールやファッションビルなどの商業施設開業が相次いだことが関係していると言えるでしょう。施設側の要請もあって、各社とも出店規模を拡大し、その分、売上高も拡大してきたわけです。

ただ、今後はこれまでのような勢いで売り上げ規模が拡大していくことは難しいかもしれません。商業施設が国内に増えすぎ、そこに出店した専門店同士の競合が厳しくなっていること、可処分所得がそれほど増えない中で、消費者のファッションへの支出が減少傾向にあるためです。

実際、専門店全体で見ると大手企業を中心に新規出店にはブレーキがかかり始めており、今後は店舗数を増やして売上高を上げるよりは既存店舗1店当たりの売り上げの底上げを図る動きが増えそうです。

とは言え、百貨店、量販店の衣料品の販売のシェアは今後も縮小が続くことが予想されるため、当面は、専門店のシェアは緩やかな上昇が続くでしょう。一方、ここ数年で、急速にネットで服を買う消費者が増えており、専門店各社も規模を問わず、EC強化の動きが顕著です。

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このため、実店舗での商売を主体としたビジネスモデルだけではなく、ネットを軸にする店や、リアルとネットを連動させた仕組みで消費者の支持を得ようとする店が近い将来、専門店の中でも台頭してくる可能性があります。

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