
繊研新聞社が行っているメンズアパレルメーカーの業績調査によると、19年度の上位100社のメンズアパレル(服飾雑貨を含む)の総売上高は、前期比14.4%減の4269億5800万円となりました。上位100社の総売上高は18年度に14年度以来の増収に転じたものの、再び減収となりました。
上位100社の売上高が大幅減収という結果になったのは暖冬で冬物が厳しかったこともありますが、3月期決算の企業がコロナ禍の影響を受け、売り上げを大幅に落としたことも大きいです。さらにはアンケート回答した上位企業で決算期変更などによってランキング外となったことも影響しました。
【18年度ファッション・アパレル業界調査】メンズアパレル売上高ランキングTOP10!
アンケートは19年4月~20年3月期の決算を対象に実施し、ランキング上位の顔ぶれにほとんど変化は見られませんでした。1位のTSIホールディングス、2位のオンワードホールディングス、3位のワールド、4位のジョイックスコーポレーションまでの順位は変わらず、5位のモリリン、10位の小泉グループが前年から順位を上げ、ベスト10入りしました。
市況全般では、コロナ禍によって百貨店や商業施設、都心の専門店などが休業を強いられた3月の売り上げの落ち込みが激しかったです。とくに紳士スーツ市場では新入学・入社を含めたフレッシャーズ需要で1年間でも最も売り上げの大きい3月を直撃したため、ダメージは大きく出ました。それ以前から夏の軽装「クールビズ」の浸透に加え、金融業などを大手企業による「服装の自由化」がビジネススタイルのカジュアル化に拍車をかけ、スーツ需要が落ち込みました。スーツ市場ではブームが続くオーダースーツについては若い世代の取り込みも進み、堅調な売り上げを維持してきました。今後もコロナ禍の影響が続くとみられ、アパレル業界の回復はまだまだ遠くなりそうです。
メンズアパレルは売上高上位100社のうち前期と比較可能な98社の合計は前期比0.4%減の4094億1000万円となった。そのうち増収となったのは28社(28.6%)だった。上位企業の中で、TSIホールディングス23.1%増、カイタックホールディングス12.3%増、コイケ14.1%増、4℃ホールディングス54.6%増などの伸びが目立ちました。減収は65社(66.3%)でした。前年に比べ増収企業は減り、減収企業は増えました。
順位 | 社名 | メンズアパレル売上高(前期比伸び率、▼減または損失) | 決算期 |
1 | TSIホールディングス◎ | 630億2800万円(23.1%) | 20年2月 |
2 | オンワードホールディングス◎ | 361億1000万円(1.7%) | 20年2月 |
3 | ワールド◎ | 300億4600万円(▼8.7%) | 20年3月 |
4 | ジョイックスコーポレーション | 258億9400万円(▼4.0%) | 20年3月 |
5 | モリリン | 165億1300万円 | 20年2月 |
6 | 山喜◎ | 147億2600円(▼1.4%) | 20年3月 |
7 | 瀧定名古屋 | 137億9200万円(▼1.0%) | 20年1月 |
8 | ファイブフォックス◎ | 113億5900万円(▼17.9%) | 19年8月 |
9 | ジャスト | 110億7400万円(3.1%) | 19年7月 |
10 | 小泉グループ◎ | 95億4700万円(▼8.4%) | 20年2月 |
■表の見方
対象の決算期は19年4月~20年3月
◎は連結またはグループ合算
モリリンは経常利益、商品別、販路別などの前々期の数字に誤りがあるため、伸び率は出さない
三陽商会は14カ月の変則決算のためランキング外
ピート、レナウンは決算期変更のためランキング外