急成長企業マッシュスタイルラボ 伸びている理由を探る①

  • 2017年08月07日更新
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繊研新聞が毎年行なっている専門店売上高ランキング。同ランキングの「売上高の伸び率」でこの数年上位に上がるのがマッシュスタイルラボです。急成長の理由を探るとともにマッシュスタイルラボの魅力についても繊研新聞で連載されたマッシュスタイルラボの連載を一部ご紹介いたします。

《連載 型破り マッシュスタイルラボ①》全てはお客を喜ばせるため

      

全国店長会の前日。展示会準備で大忙しの日だ。展示会は年4回。スナイデルは、1回につき服170~190型、雑貨70~80型を揃える。期中企画はせずに勝負する。トレンドに敏感な20代女性向けのブランドでは珍しい。「逆に期中企画ってどうして必要なの?って思うんです」とは、取締役MD本部本部長の須藤誠。「僕たちは後追いブランドじゃない。お客に常に新しさを感じてもらうためには、これが自然」と強調する。

準備中、逐一検討会が開かれる。5色展開で作ったサンプルの色を絞る作業で、デザイナーに加え、MD、生産管理、プレス、店舗マネジャーが参加する。須藤以外は全員女性。「肩開きを久しぶりに着る時、どっち着るかな?」と執行役員企画部部長の楠神あさみが聞くと、「えー、黒着たい」「白はなしだと思います」と様々な意見が飛び交う。上下関係はなく、数字の話も出ない。最終ジャッジは、着たいかどうか。楠神が全員が納得するまで問いかける。そうして、選りすぐりの商品をディスプレーして、最後は会場を一周する。「気持ちが高ぶらない場所があればやり直し。少し違うだけで、バイヤーの買い付け、雑誌編集者の取り上げ方が変わる。ここで全てが決まるんです」。作業は深夜まで続く。

「スナイデル立ち上げ当初は、商談中にサンプルを見ながら、○○円!って近藤社長が値付けしていましたよ。完全に見た目判断」と、当時を知る百貨店関係者はいう。

「(グループ会社が今春立ち上げた)ミラオーウェンでは、今まさにそれをやってますよ」と近藤が話す。「立ち上げから1年間は、自分がそうやって値付けしている。その肌感覚を覚えた人たちが、ブランドを作っていくんです。下代(卸価格)ありきで値付けすると、どういう人たちを喜ばせたいのか見失っちゃう」

スナイデルの検討会では、須藤は口を挟まず、電卓をたたき続けていた。しかし、女性社員の「かわいい!」という声の大きさや、もらした一言まで耳を澄まし、値付けに反映させる。判断に迷った時は、いくらなら買いたいかと問う。「デザイナーも、価格を安くつけられるほうが喜ぶ」と楠神。「デザイナーの気持ちが消費者に近いんです。安いほうが、自分も着られるじゃないですか」。〝いい物を買いやすく〟にこだわるため、平均原価率は30%台後半と高い。別の百貨店関係者は、「大半のアパレルは、コートがこの値段ならニットはこの値段という考え方。でもマッシュは、コートには2万円出すけど、ニットは1万円未満で欲しいっていう女の子のリアルな感覚を上手に反映している」と評価する。

マッシュスタイルラボは98年、CGアニメーション制作のスタジオ・マッシュとして創業した。ファッション事業を立ち上げたのは05年。何から手をつければいいのか分からず、近藤がミシンを買ったという話もある。楠神も建築デザイナー出身でファッションは未経験。そんな素人集団だった。

近藤が「自分が本当に納得しないと投資できない」と言うように、安易に社外の力に頼らず、自己流を追求してきたことが強みになった。服の生地や色、付属品だけでなく、什器やマネキンまでオリジナルで作る。ブランドロゴやカタログ、ショッパーもグループ会社が製作する。とことん自前主義を貫き、ブランドイメージをぶらさず発信している。しかし、楠神は「マッシュはものづくりが好きな集団。作りたいものを作ろうとするとオリジナルになるだけ」と至ってナチュラルだ。

売れ筋を追うことによる商品の同質化、コストありきの価格設定、安易な外部委託がファッション業界に広がり、今やそれが当たり前になった。マッシュスタイルラボの手法は、逸脱しているように見えるが、本来は業界の〝型〟だったはず。ものづくりと企業戦略から同社の強みを探る。=敬称略

(繊研新聞2014年10月20日付より)

【連載】 型破り マッシュスタイルラボ シリーズ

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