【アパレル業界・基礎講座2020】ー業界構造・アパレル編④ー インナー、キッズ、ライフスタイル分野を知ろう

  • 2020年09月09日更新
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今回は、アパレル編の4回目として、インナー・レッグウェア、キッズ、ライフスタイルの3分野について解説します。

比較的安定しているインナー・レッグ業界は近年、プレーヤーもアイテムも多様化が進んでおり、新たな切り口のヒット商品が生まれています。

キッズは、少子化傾向が深刻とはいえ、一人当たりの消費額が増えている市場。ライフスタイルは、コト提案による集客が増加しています。

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インナー・レッグウェア 対象絞り商品が多様化

Q.インナー・レッグウェアの市場規模は?

A.推定市場規模は、レディスインナーが6100億円、メンズインナーが2600億円、レッグウェアは6100億円です。

インナーとはブラジャー、ガードル、ランジェリー、肌着などを指し、レッグウェアはストッキング・タイツ、靴下などのことです。ワコール、グンゼなどの大企業から、中堅・中小の国内メーカー、インポート企業まで、数多くの会社があります。実用品的な性格も強く、比較的安定している業界です。

Q.どんな企業があるのですか?

A.レディスインナーでは、ピーチ・ジョンやルシアンなどを含むワコールホールディングス、トリンプ・インターナショナル・ジャパン、紳士および婦人肌着はグンゼ、フジボウアパレル、レッグウェアは岡本、グンゼ、福助、アツギ、助野、ナイガイなどが代表的な企業になります。

これらのメーカーに加え、イオンやしまむら、「ユニクロ」や「無印良品」などの小売り企業が、メーカーに生産を外注した商品をプライベートブランドとして販売するケースもあります。量的にはユニクロなどが大きなシェアを占めるようになってきました。

このほか、タビオやチュチュアンナなどの靴下系の小売業、カタログ通販、補整下着の訪問販売、白鳩のようなネット販売企業もあり、プレーヤーが多様化しています。

Q.企業の動きや注目の商品は?

A.ターゲットを明確にした販売手法が目立ちます。

かつては、キャンペーン商品をテレビ宣伝などによって一気に売るような形が多かったのですが、近年は消費の多様化を背景に、ターゲットを絞り、ネット販売などで〝個客〟に対応していくような動きが強まってきました。

近年、急速に伸びてきたネット販売ですが、ここにきて少し勢いが鈍化してきました。各社がオリジナル商品を強化したり、ネット販売とリアル店舗を組み合わせた「オムニチャネル戦略」に力を入れています。

商品では、ブラジャーの変化が目立ちます。特にノンワイヤブラやカップ付きトップなど、楽な着け心地の商品が増加傾向です。睡眠専用のブラなどもヒットしています。

一方で、きちんとバストに合ったサイズの重要性を改めてアピールする動きや、ワコールの「重力に負けないバストケアブラ」をはじめボディーケア商品も注目されています。

レッグウェアは、スタイル変化や企業の服装規定の変更などにより、パンストの需要が厳しくなっています。靴下は、フットカバー、スポーツ向け5本指、ルームソックス、カルソンなどアイテムの多様化が進んでいます。

個客対応の動きも強まっている(ワコールのサイズオーダーブラ「デューブルベ」)

ベビー・子供服 少子化も市場は横ばい

Q.ベビー・子供服の衣料品の市場規模は?

A.市場規模は9200億円と推定されます。昨秋、日本の出生数が推計よりも2年早く90万人を割るとの予測が発表され、そのニュースは業界のみならず、社会にも大きなインパクトを与えました。少子化は依然として深刻ですが、子供一人当たりの消費額は年々増加傾向にあり、この10年間はほぼ横ばいで推移しています。

近年の動きでは、「グローバルワーク」などのファミリー業態も市場を支えています。主な販路は百貨店や専門店、アパレルメーカーの直営店、量販店、ECなどがあります。

Q.販路で大きいのはどこですか?

A.存在感を発揮しているのは、しまむらや西松屋チェーン、ユニクロなどの大手専門店です。

販路別のシェアは、この10年で大きく変化しています。冒頭に挙げた3社の18年度の子供服売上高は約2206億円でした。このほかにナルミヤ・インターナショナルやF・O・インターナショナルなどの国内SPA(製造小売業)ブランドも市場を引っ張っています。

Q.今後の市場の動きはどうなりますか?

A.消費動向の変化で混沌(こんとん)とした状況が続いています。

販路の多様化、消費のマス層がデジタルネイティブの若い世代に移行していること、それに伴い、消費動向も変化していることが背景にあります。若いママの百貨店離れも歯止めがかかりませんし、子供服専業の企業では、いかに消費者との接点を増やせるかも課題です。そうした中、子供服専業ではナルミヤ・インターナショナルが、百貨店とSC、ECそれぞれの特性や消費ニーズを生かした独自のマルチチャネル戦略で売り上げを着実に伸ばしており、今後も注目です。

SC向け「プティマイン」はトレンド感もあって手頃と人気

ライフスタイル コトを楽しむ消費に対応

Q.ライフスタイル提案とは?

A.ある品目を専門にした店ではなく〝ライフスタイル〟を切り口にしたものです。

小売りの業態のあり方として開発されてきた提案手法で、そのスタイルやテーマに沿った品揃えで、特定の品目だけでなく、衣食住の際を超えて商品を揃える場合が大半です。

Q.ライフスタイルショップが増えてきた理由は?

A.モノ消費からコト消費に変化してきたことが背景にあります。

コトを楽しむために消費する傾向が強くなっており、モノを購入する場合でもコトを想定して購入するようになってきました。そのため、スタイルやテーマを切り口に提案することで、需要が刺激されることが期待できます。

また、品目別専門店ではその物を買うという動機がなければ店には足を運びませんが、ライフスタイルショップではそのスタイルを味わいたいときでも来店しようという意欲が生まれやすくなります。

Q.どんなショップがありますか?

A.アウトドアショップなどはライフスタイルショップの先駆けです。

アパレル業界でもライフスタイルショップの開発が進んでいます。テーマを定めて、アパレルだけでなく生活雑貨や食品まで広げてトータルに提案しようというものです。そのため服もそのテーマにそぐわなければ売れません。アパレルだけでなく、インテリア、生活雑貨、食品、家電、書籍、化粧品など他分野からライフスタイルショップが開発されてきました。テーマやスタイルも多様です。北欧スタイルやナチュラルライフ、ポップカルチャー、〝心地よい暮らし〟、ビーチライフ、サステイナビリティー(持続可能性)などです。多くはワークショップやイベントなども行って体験企画により顧客を広げています。業種の際がなくなってきたため、業種を超えた競合や協業も目立っています。

ライフスタイルショップという用語はテーマやスタイルを定めなくても生活関連品を幅広く揃える店にも広く使われていますが、本来はコト消費を意識して何らかのスタイル、テーマで商品を構成した店を指します。ECサイトでも総合店や専門店などに加え、最近ではスタイル、テーマで構成した店が増えています。

衣食住の際を超えたライフスタイルショップが増えている

(繊研新聞20年4月24日付より)

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