最新版!【アパレル業界・基礎講座2020】ウィズコロナで注目高まるビジネスを知っておこう

  • 2020年08月07日更新
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連続してお伝えしている【アパレル業界・基礎講座2020】の今回は、〝ウィズコロナ〟を見据えて注目が高まっているビジネスモデルについて学びます。

消費者の声を素早く商品に反映するDtoC(メーカー直販)、膨らむ在庫の処分とサステイナビリティー(持続可能性)を解決するオフプライスストア、巣ごもりや再販を意識した消費の一助となるフリマアプリについてみていきます。

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■DtoC 大手企業も続々と参入

Q.DtoCという言葉をよく聞くようになったのですが。

A.スタートアップから大手まで、様々な企業がこぞって取り組んでいます。

DtoCはDirect-to-Consumer(ダイレクト・ツー・コンシューマー)の略で、D2C(ディー・ツー・シー)と表記されることもあります。商品を作る企業が、流通業者を介さず、ECや直営店舗で直接消費者に販売するビジネスモデルです。生産、販売の過程で中間業者を省くので、サービス品質や価格競争力、収益性が期待できます。消費者とダイレクトにつながり、客の声や反応を企画やマーケティングなどに素早く反映するのが特徴です。もともとアメリカで、スタートアップ企業がDtoCを活用して成功している事例が多く、日本でも注目されはじめました。アパレルだけでなく、コスメや食品など、多くの業種に採用されているビジネスモデルになっています。

Q.SPA(製造小売業)とはどう違うのですか?

A.確かに共通する部分も多く、あいまいにされている節もあります。しかし、企画から製造・販売を一貫して行うSPAが実店舗での販売を中心にしているのに対して、DtoCは自社ECを軸にしています。

SPAは企画から販売までを一貫することで消費者の変化のスピードに対応し、価格の優位性をだすために実店舗網のスケールメリットを発揮して大量生産するケースも多いです。

一方、DtoCは大手ECモールへ出店することも少ないため、認知度を高め売るためには、商品そのものの魅力が高いことが前提です。そのうえで、プロモーションを行っていくことが必要になります。

そこで生産するアイテムはある程度絞り込み、ECでコンテンツを作りこんで世界観を丁寧に表現して、それをSNSなどで発信する手法をとっています。自社のECやSNSを通じて顧客やユーザーの声を多く集め、それを次の企画や商品に生かすというサイクルを素早く実践しています。

実店舗を開設する場合もありますが、販売のためではなく、あくまで顧客とより近い接点を持つためで、試着や接客、商品の受け取りなど顧客体験を重視しています。

Q.主なプレーヤーと今後の可能性は。

A.ますます参入する企業は増えるでしょう。

スタートアップ系では、シャツのカスタムオーダー「ファブリック・トウキョウ」や身長155センチ以下の女性のためのブランド「コヒナ」、上質なルームウェア「フー・トーキョー」などが有名です。どれもブランドのコンセプトを明確にしているのが特徴です。

一方、大手企業も続々とDtoCモデルを採用しています。販売員やインフルエンサーといった発信力の高い人を起用して、消費者とダイレクトにつながろうというものです。ジャパンイマジネーションがギャル雑誌『ハピーナッツ』専属モデルの関口さくらさんをクリエイティブディレクターに迎えた「ルモアーズ」、ストライプインターナショナルが販売員をディレクターに起用した「レムクローゼット」などがあります。

DtoCブランドを支援する事業やサービスも活発化しています。丸井グループは全額出資でディーツーシーアンドカンパニーを立ち上げました。DtoCブランドへの投資・融資や、実店舗の開設をサポートしています。

また、メガトレンドが生まれにくく消費者ニーズが多様化していること、SNSの浸透で個人の発信力が高まっていることから、個人がDtoCでファッションブランドを作る動きも加速しています。簡単にECを開設できるプラットフォームがすでに活用されているほか、直近ではゾゾがブランドの立ち上げを支援するサービスも開始しました。

サザビーリーグのジュエリーブランド「アルティーダウード」。自社ECを主軸に、サイトは作りこんである

■オフプライスストア 在庫とサステイナビリティーの観点から

Q.オフプライスストアとはどのような業態のことですか。アウトレットとは異なるのですか。

A.市場で過剰在庫となり売れ残った商品を、専門店やメーカーから買い取り、定価よりも安く販売する業態を指します。アウトレットストアが自社の在庫を販売するのに対し、オフプライスストアは他社の在庫を仕入れて販売する点が異なります。

Q.なぜ注目されているのですか。

A.一つは新型コロナウイルスの感染拡大によって、これまでも暖冬などで不振だったアパレルメーカーの業績がさらに悪化して、在庫が膨らんでいることです。もう一つはサステイナビリティーの観点からです。

コロナによって、アパレルの主要販路である商業施設や百貨店、専門店が休業や時短営業を余儀なくされました。今は再開して少しずつ客足も回復していますが、大々的な集客イベントやセールの実施などはできない状況です。消費マインドも低下しており、春夏商品以降はこれまで以上に在庫が残ることになります。ショップの家賃や人件費は大きく変わらないため、資金繰りをするためにも在庫を現金化する必要が高まっているというわけです。

実際、在庫処分業のshoichiによると、コロナの影響が出始めた2月、「例年の3倍以上の仕入れになった。過去にない水準だ」としています。

また、サステイナブルの観点からも注目です。SNSの浸透などで、「在庫焼却」への消費者の目が厳しくなっています。一昨年、スウェーデンのH&Mや英バーバリーの在庫焼却問題への批判はSNSで多くの話題になりました。

日本市場では年間で供給されるアパレル製品約39億点のうち、14億点もが売れ残り在庫になっているとも言われています。セールやアウトレットでも売れ残った商品を焼却処分できないとなると、細々と長く売ることも考えられますが、トレンドのサイクルが早かったり、倉庫の保管料もかさむため、オフプライスストアの出番というわけです。

大幅に値下げした商品を市場に流通させると、ブランド価値を毀損(きそん)するという懸念もありますが、オフプライスストアはタグを切り取ってブランド名を分からなくしたり、一定のエリアでは販売しないルールを設けたり、海外で販売する方法を取ることで、これに対応しています。

Q.具体的にどんな事例がありますか。

A.もともと米国発のビジネスモデルでしたが、この間、日本でも活発化しています。

今年3月には、ドン・キホーテがオフプライス業態「オフプラ」の1号店を愛知県にオープンしました。欧米のラグジュアリーやスポーツブランド、自社の在庫を販売しています。「オフプライスは、生産と販売のバランスが乖離(かいり)しているこの状況では必要とされる業態。循環型社会を形成するインフラになっていく」とみています。

大手アパレルもオフプライスストアを立ち上げています。ワールドは、ゴードン・ブラザーズ・ジャパンと共同出資でアンドブリッジを設立し、今年3月にオフプライスストア「アンドブリッジ」の2号店を、神奈川県に開設しました。

このほかにも、ゲオホールディングス、ジョイフル本田などがオフプライスストアに参入しています。また、フラッシュセールEC(期間限定の会員向けセールサイト)で販売されていることもあります。

「循環型社会を形成するインフラになる」とするドン・キホーテのオフプライスストア

■フリマアプリ “売ること前提に買う”が加速

Q.市場規模はどれくらいですか。

A.経済産業省の「平成30年度電子商取引に関する市場調査」によると、18年のフリマアプリの市場規模は6392億円となりました。17年は4835億円、16年は3052億円で、2年前と比べ2倍の規模になりました。「メルカリ」が直近で発表した同社の日本国内流通総額は、19年7月から20年3月の9カ月間で4454億円となり、前年同期比で843億円増えています。このことから、19年以降はさらに市場が拡大していると予測されます。

Q.新型コロナによってフリマアプリの使われ方は変わりましたか。

A.外出自粛やテレワークが進み、売買されるアイテムに変化がありました。メルカリによると、「巣ごもり消費」と「息抜き出品」が増えました。

3月の集計では、短期集中型エクササイズプログラム「ビリーズブートキャンプ」関連商品の取引数が前年同期比10倍となりました。家にいながら運動できるコンテンツへの需要が高まっていることを示しました。自宅にいる時間の息抜きとして不要なファッションアイテムや書籍などを手軽に出品する人も多かったといいます。

今後はますます利用が拡大するでしょう。フリマアプリによって「売ることを前提に物を買う」という消費者の購買動向が定着しました。今後は所得の低下や外出する機会が減ることが予想されるため、ファッションについても「厳選消費」が進むと思われます。フリマアプリでも高値で売れる「リセールバリュー」を意識した消費が進みそうです。

新品市場でも売れているものがフリマアプリでも人気に(「ラクマ」の売れ筋ブランドランキング)

(繊研新聞20年6月26日付より)

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