最新版!【アパレル業界・基礎講座2020】ファッションニュース早わかり=2019年度下期編=

  • 2020年08月03日更新
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
S624x416 0987

センケンjob新卒を運営する繊研新聞の紙面に掲載された記事から、業界で起こった出来事を振り返る「2019年ファッションニュース」の下期編です。

19年10月~20年3月のニュースの見出しから、ファッションビジネス(FB)業界にどんな動きがあったのか見ていきます。年明けから新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、中国、欧米、日本と世界中でFB業界に被害が広がっていきました。

【関連記事】【アパレル業界・基礎講座2020】ファッションニュース早わかり=2019年度上期編=

【1】米でファッション小売り倒産相次ぐ

アメリカでファッション小売りの不振が続いています。09年に日本にも進出し、ファストファッションブームの一翼を担ったフォーエバー21は19年9月に日本の民事再生法に相当するチャプターイレブンを申請しました。申請前に日本や香港からも撤退していました。

一方、高級店のバーニーズニューヨークも19年8月に同法を申請、その後ブランド運営会社のオーセンティックブランズに知的財産権を買収され、全店舗の閉鎖が決まりました。ECの隆盛に押された側面もありますが、実店舗での品ぞろえや店頭でのサービスレベル低下が根本的な要因です。

日本でも10月で全店を閉めたフォーエバー21

【2】大手アパレル、業績不振鮮明に

百貨店頼み、外部ブランド依存のビジネスモデルからの脱却が進まなかったことが要因となり、大手アパレルの業績不振が続いています。オンワードホールディングスは19年10月に売れ行きの低迷を理由に600店の閉鎖を発表、その後希望退職350人の募集にも踏み切りました。同社は、撤退・縮小と成長分野の線引きを明確にし、収益性の立て直しを進める方針です。

三陽商会も主力ブランド「バーバリー」の契約終了以降、ブランドの入れ替えや不採算ブランド・売り場の撤退、希望退職など構造改革を進めましたが、19年12月期は赤字となり、業績改善が進まなかった結果として社長も交代しました。

【3】百貨店、苦境で迫られる構造改革

大手アパレル同様、苦境にあえぐ百貨店でも生き残りに向けた構造改革が進んでいます。そごう・西武は地方・郊外店の5店を閉鎖し、福井、秋田の2店の面積の縮小を決めました。不採算店を減らすことで、収益の悪化に歯止めをかけ、首都圏を中心とした店舗のてこ入れを加速させる戦略です。

三越伊勢丹は食料品の定期宅配、化粧品、婦人服SPA(製造小売業)、パーソナルスタイリング、ギフト、紳士服パターンオーダー(PO)のオンラインサイトを相次いで立ち上げ、ECで新規事業を強化しています。J・フロントリテイリングはパルコを完全子会社にし、不動産事業の強化を本格化しています。

【4】スポーツ特需に沸く日本市場

19年9~11月に開催された「ラグビーワールドカップ日本大会」は日本代表が初のベスト8入りを果たしたこともあり、45試合の観客動員数は170万人を超え、テレビ放送された日本代表戦5試合の視聴者数は8700万人に上るなど、大きな盛り上がりを見せました。

カンタベリージャパンはブームを受け、レプリカジャージーを追加生産するなど、ファッション業界も特需に沸きました。続く東京五輪への期待も強まりましたが、年明けからの新型コロナウイルスの感染拡大を受け、五輪は延期、その他プロスポーツもシーズンが遅れるなどの影響が広がりました。

ラグビーW杯の盛り上がりは20年の五輪特需の期待につながった

【5】仏ラグジュアリー好調続く

19年下期はフランスのラグジュアリーブランドグループの好調が続きました。仏LVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトングループの19年度(1~12月)は売上高が日本円換算で6兆円を突破し、ケリングも19年度の売上高が1兆9000億円近くに達し、それぞれ好調でした。

2社ともにアジア市場での販売が主力ブランドを中心に伸びたことが増収の要因です。LVMHは米ティファニーを買収し、ケリングもモンクレールの買収の可能性がささやかれるなど、好業績を追い風に、ブランドポートフォリオのさらなる拡大に乗り出しています。

【6】暖冬を契機にMD改革が加速

猛暑に暖冬というシーズン進行が常態化し、1年の前半を春夏、後半を秋冬という区分で作るMDの前提が通用しなくなっています。とりわけ深刻なのが暖冬の影響です。ウールコートやダウンジャケットなど防寒系アウターが、気温が低下しないために売れ残る現象がここ数年続いています。

ファッション小売り、アパレル企業も、実際の季節進行とシーズンMDがかみ合わない状況を受け、長期化する夏に売れる商品や暖冬でも需要の高いアウターの強化など商品企画の見直しに加え、実需期とセールが重なることのない店頭への商品投入のスケジュール構築に20年春夏から乗り出しています。

【7】コロナで高まるマスク需要

新型コロナウイルスの影響で、マスクの需要が急拡大しました。1月には、日本企業が運営する越境ECサイトでサージカルマスクやメディカルマスクの海外からの注文が増え始め、2月の後半から3月にかけて国内でも感染者が拡大し、ドラッグストアなどの店頭からマスクが消えました。

既成品のマスクが不足し、価格が高騰すると、今度は手芸用品店で手作りマスク用の資材が売れ始め、ハンカチを使ったマスクの作り方の動画がSNSなどで話題となりました。その後、感染拡大が深刻化するとともに、合繊メーカーなどが抗ウイルスなど機能性素材をマスク向けに使う動きが活発化しました。

既製品が品薄になったことによりハンカチなどを使ったマスクも注目された

【8】中国で新型コロナの影響拡大

新型コロナウイルスの感染拡大は中国で始まり、現地の小売市場にも大きな損害をもたらしました。日系ではユニクロが1月に武漢市の店舗を休業したのを皮切りに最大で2月には現地の店舗の半分強が休業し、無印良品もピーク時には現地店舗のほぼ半数が休業しました。

海外の小売りも同様で、H&Mは中国での第1四半期(19年12月~20年2月)の売上高が前年同期比24%減少しました。「世界の工場」としてアパレル生産の担い手でもある中国では感染拡大によって日本向けの輸出も滞り、3~5月の店頭向け商品の納品に遅れが出ました。

【9】新型コロナ欧米でも感染拡大

中国でのコロナウイルス拡大は1、2月に一度目のピークを迎え、3月からは小売店の営業など経済活動が徐々に再開し始めました。入れ替わりに欧米で急速に感染が拡大し、イタリア、フランス、英国、ドイツは3月に相次ぎ都市封鎖に踏み切り、米国も各州でロックダウンを実施しました。

この結果、中国で営業再開が進んだグローバル大手小売り各社も欧米での店舗休業を余儀なくされ、業績への影響が広がりました。H&Mは主力のドイツ、米国の店舗が休業し、20年度は無配を決定し、全世界の店舗の半分が休業したインディテックスは340億円の在庫引当金を計上しました。

【10】日本でもビジネスに打撃

日本でも1月中旬に最初の感染者が出ると、3月には1000人を超えました。中国からの旅行者の落ち込みで1、2月は百貨店など小売りの売上高が減っただけではなく、影響はFB業界全般に広がりました。3月中旬に開催予定だった「楽天ファッション・ウィーク2020秋冬」を筆頭に、イベントが相次ぎ中止となりました。

感染拡大防止に向け、商業施設では営業時間を短縮する動きも出始めました。3月下旬に1日で100人の感染が確認されるなど、感染拡大の勢いが衰えないことから、東京都が在宅勤務や週末の外出自粛を要請するようになると、ファッション企業も大手を中心にテレワークの導入など対応に乗り出しました。

3月末には感染拡大を受けて週末休業する小売りも現れた

(繊研新聞20年7月10日付より)

    関連する記事

    話題のキーワードキーワード一覧

    月間ランキング月間アクセスランキング

    週間ランキング週間アクセスランキング