最新版!【アパレル業界・基礎講座2020】ファッションニュース早わかり=2019年度上期編=

  • 2020年07月29日更新
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センケンjob新卒を運営する繊研新聞には日々、様々な種類のニュースが掲載されています。毎日読んでいると、業界でどんな動きがあるのか、徐々に見えてきますが、それを素早くつかむには、ニュース記事の見出しをチェックする習慣を持つことが大事です。

そこで今回は「2019年ファッションニュース」上期編として、19年4~9月の繊研新聞に掲載されたニュースの見出しから、この半年間に、業界でどんな動きがあったのか、見ていきます。

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【1】低価格高機能ウェアが台頭

作業服、作業用品に特化したFC専門店ワークマンの「ワークマンプラス」が拡大しています。一般客向けに低価格・高機能のウェアを売る業態として、18年9月に1号店を出店しましたが、SCからの引き合いも多く、初出店から1年で30を超えるまでに店舗網を拡大しました。

ワークマンがプラスの開発のお手本にしたと言われるフランスの「デカトロン」も19年3月に西宮に1号店を出しました。今後も年2、3店ペースで出店する構えです。スポーツやアウトドアで使えるウェアやギアを、専門ブランドをはるかに下回る価格で提供することで今後もシェアを拡大しそうです。

低価格で〝使える〟ウェアが一般向けにも広がりつつある

【2】リアル店の役割問われる

ECで物を買うことが当たり前となる中、リアル店の新たな役割が問われています。米国ではこの潮流に乗り遅れたフォーエバー21、バーニーズニューヨークが厳しい状況に追い込まれています。一方、良品計画は19年4月に日本で初のホテル併設型旗艦店を銀座にオープンしました。

店自体を大型化し、宿泊施設も持つことで来店動機を増やす狙いです。このほか、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)グループの蔦屋家電エンタープライズは、二子玉川にショールーム型の新業態「テックフロント」をオープンしました。ECでの購入を前提にした店舗運営の重要性が増しています。

【3】FB商況天候に翻弄

ファッションビジネス(FB)は景気と天気、とはよく言われますが、19年は天候の変化に小売り商況が大きく左右されました。春物の売れ行きは低気温で鈍く、5月に入ると、連休後の気温上昇で夏物が若干は動きましたが、6、7月は記録的な低気温で夏物商戦全体ではセールも含め不発となりました。

ところが8月になると一転して猛暑が訪れ、セール期が盛夏物実需と重なりました。気温変化に伴う実需のヤマに合わせた販売スケジュールの設定は業界全体の課題です。また、19年も18年に続き、西日本を襲った台風10号、関東に被害をもたらした15号など大型台風も商況に大きな影響を与えました。

【4】決済サービス覇権争い激化

 スマートフォン決済サービスの覇権争いが激化しています。ソフトバンク系の「ペイペイ」は利用者全員に購入額の最大2割をポイント還元するキャンペーンを18年末と19年春に実施。LINEペイは5月に「祝!令和・全員にあげちゃう300億円祭」を実施しました。

メルカリの「メルペイ」も4月からの大型連休中に原宿・竹下通りの加盟店で利用客が特典をもらえる販促を行いました。10月の消費増税を見越した経済産業省のキャッシュレス・消費者還元事業もあり、ファッション小売り、商業施設などの導入に関する関心が高まり始めました。

【5】 前澤劇場、株売却で幕引き

ゾゾタウンを運営するゾゾがヤフー(現Zホールディングス)傘下となりました。ゾゾタウンはファッションECモール大手ですが、18年末にスタートした有料会員サービスを巡り、出店ブランドや企業の反発、離脱が起こっていました。また、PB事業も当初計画を下回る推移となっていました。

こうしたことが直接のきっかけになったかは定かではありませんが、ヤフーとしてはECモール事業で楽天、アマゾンに先行されており、ゾゾ買収を巻き返しの起爆剤としたい考えのようです。ゾゾの創業社長だった前澤祐作氏は、所有株式を売却し、社長を辞任しました。

一般マスコミも巻き込み、話題を振りまいた創業者が一線を退いた

【6】EC2強ファッションを強化

日本ではアマゾン、楽天がECモールの2強で、国内流通総額はそれぞれ数兆円を超えています。幅広い商品を売る総合小売業としては、すでに百貨店、量販店をしのぐ規模にまで拡大していますが、ここにきて、2社ともファッション分野強化に乗り出しています。

楽天はアマゾンと入れ替わりで19年10月から東京ファッション・ウィークの冠スポンサーになりました。ブランディングとファッション小売りやブランドを自社モールで増やす狙いです。ヤフーもゾゾタウンを運営するゾゾを傘下に収め、2強を追撃する姿勢を示しています。

楽天は東京ファッション・ウィークの冠スポンサーになるなどファッション強化の構えだ

【7】物流機能をEC各社拡充

EC企業による物流機能強化の動きが活発化しています。ファストファッション通販サイト「ショップリスト」のクルーズショップリストは、物流コスト改善策として、物流パートナーと組んだ都内23区での低コスト配送網を構築し、ブランド・小売りへサービス提供することを5月末に発表しました。

楽天はファッションEC「楽天ブランドアベニュー」(現楽天ファッション)では自社で物流まで手掛けていますが、「楽天市場」においても17年に起こった「宅配クライシス」を受け、物流拠点の拡充に乗り出し、消費者に商品を届ける配送網の強化も進めています。

【8】持続可能性国内に広がり

 サステイナビリティー(持続可能性)を強化する動きが日本のファッション業界でも広がりを見せています。ラグジュアリー業界やグローバル大手小売りにとってはすでに当たり前の取り組みとなっていますが、環境への配慮だけでなく、従業員の人権にも配慮する姿勢が市場で選ばれるために必須の課題と捉える国内ファッション企業が増えてきました。

ショッピングバッグや包装材料をプラスチックから紙に変える小売業や製品に使用するリサイクル素材の割合を増やすブランド、工場のモニタリングを強化し、サプライチェーン全体の透明性を高めようとする動きも起こっています。

ユニクロも再生ポリエステルを使った製品を拡大する

【9】世界大手企業さらに存在感

全世界のファッション業界で起こっている動きの一つが大手企業による寡占化です。ラグジュアリー業界では売り上げ規模が5兆円を超えるLVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトングループ、2兆円近いケリングを筆頭に一握りの企業グループに有力ブランドの集約化が進んでいます。

グローバル大手小売りも「ザラ」のインディテックスが売上高3兆円を超え、2兆5000億円のH&M、2兆3000億円のファーストリテイリングが後を追っています。市場の二極化が進む中、規模で及ばない中間価格帯のブランドや小売業は改めて大手とは異なるクリエイティビティーが問われています。

【10】増税前の駆け込み需要低調

10月の消費増税を控え、アパレルや小売り各社は9月の段階で高単価のアウターを店頭に投入したり、9月の買い上げで10月以降、割引で商品を購入できるクーポンを配布するなど、駆け込み需要に備える動きを示しました。ただ、8%から10%と、2ポイントの増加幅だということもあり、5%から8%に上がった14年ほどのインパクトはないとの予想が大半を占めました。

実際、9月の時点で秋冬物の先食い需要がそれほどではなかった小売業が多く、店頭では、例年より早めに仕込んだダウンジャケットなど冬アウターも一部の人気ブランドを除くと、大きくは動かず、駆け込み需要は低調でした。

(繊研新聞20年1月10日付より)

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