最新版!【アパレル業界・基礎講座2020】どこからアパレルを輸入している? 海外生産編

  • 2020年07月27日更新
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この記事は、今からファッション・アパレル業界を目指す就活生の方、ファッション業界でこれから働き始める人たちに向けて、市場の成り立ちや規模、業界構造、最新のトピックなど必要な知識を、ファッションビジネスの総合情報紙「繊研新聞」の記者がお伝えする基礎講座です。

まずは、「データで見るファッションビジネス」で、日本のファッション市場について学びましょう。

前回は、日本で販売される衣料品のほとんどが今や海外生産になっているということについて見てきました。国内生産はほとんど残っておらず、現在、日本のアパレル市場の輸入浸透率は98%近くまで上昇しています。5回目となる今回は、日本市場にどんな国から衣料品が輸入されているかを見ていきます。

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輸入量と金額の推移は?

\ここがポイント!/

・数量はここ数年増加

・金額も2年連続で拡大

・中国シェアは低下続く

日本のアパレル輸入の数量と金額を中国とそれ以外の国で分け、推移を表したのが下記のグラフ①です。数量は、景気低迷期の09、10年に37億点台でしたが、その後回復し、11~13年は40億点近い水準で推移しました。14、15年と減少しているのは円安に伴い価格が上昇した結果、購買が減少したことが要因です。

金額は09~12年まで2兆円台前半で推移しています。これはこの時期、円高が続き、輸入アパレルの平均価格が低下していたためです。13年の後半からは為替の円安が進み始め、平均価格は上昇、数量が増加し始めたこともあり、輸入金額は拡大していきました。

輸入アパレルのコスト上昇が直近でピークに達したのは15年で、この年、数量はピーク時の13年より1割減ったのに対し、金額は5%近く増えました。ファッション業界はコスト上昇を価格転嫁しましたが、消費者はこれを受け入れず、服の販売は低迷しました。

これを受け、業界は再び輸入アパレルのコスト抑制に乗り出し、16年から数量は回復に転じました。また、この10年間で起こった変化として大きいのは中国からの輸入の減少です。09年に全体の9割強を占めた中国からの輸入シェアは、10年以降、8割を割り込み、16年以降、60%台にまで低下しています。

中国以外からの輸入は?

\ここがポイント!/

・10年でシェア4割

・年間14億点規模に

・ベトナムが最大手

前項で見た通り、10年前、中国からの輸入は数量で9割を示しましたが、その後低下し、現在は6割強です。これを補う形で中国以外からの輸入が増え、09年の3億6000万点から18年には14億点を超えるまでに成長しました。下記グラフ②はそのシェアの変化と中国以外からの輸入の内訳を示したものです。

中国以外の国・地域からの輸入は、円グラフで見ると、09年の10%から、18年には37%に拡大しています。これらの国のうち、価格の高い、アメリカやイタリアなど欧米を除く、アジア地域を中心とする国・地域を「中国プラス1」(チャイナプラスワン)と呼び、00年代から増え始めました。

それまでの中国への輸入依存度の高さによるリスクと、経済成長により中国からの調達コストが上昇したことへの対応が日本のアパレル業界に広がったことが中国プラス1拡大の要因の一つです。もっとも規模が大きいのがベトナムで、18年で中国以外からの輸入の37%を占め、数量も5億点を超えています。

次いでバングラデシュが16%を占め、2億3000万点を輸入しています。ほかにカンボジア、インドネシア、ミャンマーからの輸入がそれぞれ1億点を超える規模になっています。各国で得意とする生産品目が異なり、いずれも生産地として今後も拡大すると見込まれます。

国ごとの輸入量とコストは?

\ここがポイント!/

・中国に依然競争力

・ベトナムは品質で評価

・コストではバングラデシュ

輸入量と金額、アパレルの平均単価を国ごとに表したのが下記の表①です。もっとも規模の大きい中国はニット衣料、布帛衣料ともに平均単価が全世界平均を下回り、依然としてバランスの取れた供給源として存在感があることが分かります。ニット、布帛合計の平均価格が最も安いのが韓国で343円。

ただし、これはニット衣料の中でもカットソーが主力のためで、布帛は他のアジアに比べ決して安くはありません。韓国ファッションは若年層に人気がありますが、輸入量そのものは少なく、大手企業が供給源として利用するのは難しいと言えます。

輸入相手国2位のベトナムは、中国より高い単価です。これは手先の器用な国民性を生かし、手の込んだアイテムの生産を得意とするためで、セレクトショップ向けのスーツやコートなども最近では多く作っています。バングラデシュやカンボジア、ミャンマーも布帛衣料の価格が中国を上回っています。

これはスーツなどのほか、ダウンジャケットなどアウトドアアイテムの生産やスポーツブランド向けの生産を手掛けているためです。一方インドは、刺繍などのディテールに強く、ウィメンズブランドの生産で人気です。インドネシアからは近年、紳士スーツの輸入が増えています。

アイテム別のシェアは?

\ここがポイント!/

・主要アイテムで中国トップ

・ベトナムも2位で定着

・女性物でカンボジアも

アイテム別で輸入相手国のシェアと平均単価をまとめたものが表②です。数量で見ると、中国が依然としてセーター・カーディガンで全体の6割強のシェアを維持し、布帛の婦人服でも7~8割と高いシェアを誇ります。Tシャツや布帛の紳士服ではシェアが低下していますが依然4割台を維持しています。

存在感が高まっているのがベトナムです。平均単価で見ると、中国に比べ安いわけではありませんが、品質の高さから主要アイテムのうち、5品目で中国に次ぐ2位のシェアになっています。

ミャンマーは紳士スーツで2位に入っていますが、近年はスーツ専門店向けの生産も増えています。

ドレスはインドが2位につけています。価格の安さもありますが、刺繍やレースなど手の込んだ加工が得意なことも日本向けに強い理由です。カンボジアはスポーツブランドだけではなく、海外ファストファッションの生産にも強く、日本向けでもウィメンズのボトムの輸出が伸びています。

全体として、供給の主力は中国という構図は変わりませんが、中国に次ぐ、安定した品質を求める場合はベトナム、スポーツやアウトドア向けのほか、生産コストを抑えたい場合はカンボジア、ミャンマー、手の込んだ婦人服ならインドなど、日本のファッション産業は商品によって生産国を使い分けています。

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