最新版!【アパレル業界・基礎講座2020】日本に流通する服の生産地は? 供給構造編

  • 2020年07月27日更新
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この記事は、今からファッション・アパレル業界を目指す就活生の方、ファッション業界でこれから働き始める人たちに向けて、市場の成り立ちや規模、業界構造、最新のトピックなど必要な知識を、ファッションビジネスの総合情報紙「繊研新聞」の記者がお伝えする基礎講座です。

まずは、「データで見るファッションビジネス」で、日本のファッション市場について学びましょう。第4回の今回は日本に流通する服の生産地についてみていきます。

前回は、服の価格が過去10年間でどのように変化してきたかを見てきました。市場全体に占める低価格分野のシェアが5割近くまで上昇し、ベーシックでもトレンドでもあまりお金を掛けずにファッションを楽しむことができるのが、今や当たり前となっています。今回は、日本で売られている服がどこで作られているのかを見ていきます。

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市場規模と価格帯の変化は?

\ここがポイント!/

・金額は頭打ち傾向に

・供給量は13年がピーク

・低価格分野の増加続く

日本の衣料品消費市場の金額ベースの規模と市場への供給量を棒グラフで、金額ベースの市場規模に占める低価格分野の市場規模を折れ線で表したのが下記のグラフです。これまでに見てきた通り、金額での市場規模は09、10年にかけて減少しましたが、11年以降、8年連続で増加しました。

金額ベースでの市場規模は過去10年間で11%増加したのですが、直近3年では伸び率が鈍化しています。18年は9兆8000億円で、前年比0.3%増にとどまっています。リーマンショック以降、消費者の節約志向が定着し、ファッション以外の消費分野への支出の増大などが要因と考えられます。

一方、低価格分野は過去10年で24%増加しました。08~10年の景気低迷時に消費者が高額なファッション商品の購買を控えるようになったことに伴い、服の低価格化が進んだためです。海外ファストファッションが相次ぎ日本に進出し、しまむら、ユニクロ、ジーユーなどもこの時期に支持を集めました。

市場への供給量は、11年以降は円高を背景に拡大しましたが、円安になった14、15年に供給量は減少し、服の平均価格も上昇しました。ただし消費者の低価格志向は根強く、16年からは再び低価格分野を中心に供給が増え、18年は10年前と比べ、ほぼ同水準となっています。

国内市場への供給源は?

\ここがポイント!/

・海外からの輸入が主力

・国内生産は減少の一途

・輸入製品が市場を席巻

日本市場で売られている服は、今やそのほとんどが海外からの輸入に頼っています。輸入が拡大したきっかけは円高の進行で、80年代の後半以降、服の海外生産が飛躍的に拡大し、90年代には輸入が国内生産を上回りました。輸入が増え始めた当初は低価格分野での活用が中心でした。

90年代後半に入ると、ユニクロがSPA(製造小売業)化を推し進める上で海外生産を活用し、業績を拡大しました。この動きを追いかけるように日本のファッション産業全体で海外生産が増え、量販店向けなどの低価格の分野だけではなく、百貨店やセレクトショップなどでも輸入製品が増えていきました。

国内生産は80年代半ばまでは海外生産を上回っていましたが、円高による輸入拡大で90年代にシェアが逆転して以降、規模縮小が続きました。下記グラフは衣料品の国内生産量と輸入量の推移ですが、国内生産は海外生産に比べ、微々たる量に過ぎず、直近10年で見ても減少していることが分かります。

一方、輸入は過去10年間を見ると、09~10年は横ばいで、11~14年は増減を繰り返し、16年以降、再び増加しています。これは年ごとの景気動向に輸入量が左右されていることを示しており、海外での服の生産が日本のファッション産業にとって今や欠かせない供給の主力となっていることを示しています。

輸入量の推移とシェアは?

\ここがポイント!/

・国内生産は1億点割れ

・輸入は毎年35~39億点

・輸入浸透率98%に迫る

市場への供給に占める海外生産の規模の大きさと輸入浸透率の推移を実数で見ていきましょう。下記の表は服の国内生産、輸入、そして輸出の数量とそこから算出できる日本市場の服の輸入浸透率を過去10年分まとめたものです。国内生産は直近10年間も減少が続き、17年以降、1億点を割り込んでいます。

その一方、先ほどのグラフ②で見た通り、過去10年、細かな増減を繰り返して推移しています。特に円安による調達コスト上昇が進んだ14、15年は5%強減少しました。この間、服の価格は上昇しましたが、消費者の低価格志向は根強く、その後は価格を再び抑える形で、輸入が増加に転じました。

日本のファッション商品は近年、インバウンド(訪日外国人)にも人気ですが、輸出を見ると、年間千万点にも満たない量で推移しており、ほとんど伸びていません。この結果、服の輸入浸透率は10年前には95%を超え、14年には97%台に突入するなど、じりじりと上がり続けています。

海外市場へ旺盛に出店を続けるユニクロや無印良品は海外生産を活用し、コスト、品質ともに安定した商品をグローバルに供給する仕組みで成長していますが、国内生産の減少ぶりを見ると、メイド・イン・ジャパンを切り口にした服の海外への販売は全く伸びていないことが分かります。

海外生産の分布は?

\ここがポイント!/

・中国が全体の6割強

・近年は中国以外も増加

・生産地の多様化進む

日本への供給のほとんどを担う海外生産はどのような国・地域で行われているのでしょう。下記のグラフは服の輸入相手国トップの中国とそれ以外の国からの輸入量の推移を過去10年間で見たものです。10年前、中国からの輸入量は全体の9割を占めました。中国からの輸入は90年代に入り、急速に増えました。

80年代、海外生産が増え始めた当初は、韓国や台湾、香港での生産が主流でしたが、90年代に入ると、地理的に見ても日本から近いうえに労働力も豊富で、生産コストが安い中国での生産が本格化し、日本の工場の移転も増えました。この結果、輸入相手国のトップになったのですが、その後、徐々に潮目が変わり始めました。

いくつか要因がありますが、一つは日本と中国の間での政治的な問題により、中国生産への一極集中のリスクが高まったこと、もう一つは中国の経済成長とともに生産コストが上昇し、服を生産する工場より、給与水準の高いハイテク機器などに労働力シフトが進んだことです。

この結果、中国以外の国・地域での日本向けの服の生産が拡大していきました。10~13年は80%台を占めていた中国からの輸入は、14年には70%台となり、近年は60%台まで低下しています。生産国の多様化は今後も進むものと見られます。

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