最新版!【アパレル業界・基礎講座】 服の値段はどう変化した? 価格編

  • 2020年02月17日更新
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この記事は、今からファッション・アパレル業界を目指す就活生の方、ファッション業界でこれから働き始める人たちに向けて、市場の成り立ちや規模、業界構造、最新のトピックなど必要な知識を、ファッションビジネスの総合情報紙「繊研新聞」の記者がお伝えする基礎講座です。

まずは、「データで見るファッションビジネス」で、日本のファッション市場について学びましょう。第3回の今回は服の値段の変化についてみていきます。 

前回は、販路別の衣料消費の変化を見てきました。この10年で専門店の売上高がさらに増え、ファッションECの拡大を背景に通信販売も伸びる一方、総合小売業である百貨店、量販店の衣料品販売は減少するなど、消費者が服を買う場所は移り変わっています。また販路の変化とともに、低価格の服の占める割合が増えました。今回は、服の値段がどのように変化しているかを見ていきます。

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販路のシェア分布はどう変わった?

\ここがポイント!/

・百貨店2割弱、量販店1割に

・専門店、市場の過半を占める

・EC拡大、通販15%まで成長

まずは、前回までのおさらいです。日本の18年の衣料消費市場規模は9兆7900億円でした。過去10年で見ると、09年から10年にかけて規模は減少しましたが、11年以降は増勢に転じ、10兆円弱の水準でここ数年は推移しています。市場規模自体はこの2年は微増と、足踏み状態にあります。

この市場規模の推移を百貨店、量販店、専門店、通信販売の四つの販路に分け、売り上げ規模の変化を表したのがグラフ①です。百貨店の衣料品販売は09年には2兆円を超えていましたが、その後減少が続き、17年からは2兆円を割り込み、市場全体に占めるシェアも4分の1強から2割弱まで低下しました。

量販店の衣料品販売も衰退傾向が顕著です。09年のシェアは15%でしたが、その後10年間、売り上げ規模は縮小が続き、18年には10%まで低下しました。百貨店と量販店の縮小と入れ替わるように、専門店の売上高はこの10年間も伸び、シェアも5割弱から6割近くまで上昇しました。

通信販売もこの10年で規模を拡大しました。ECの伸長が顕著で、ゾゾタウンなどのモールや小売店による自社ECが拡大、スマートフォンの普及が進んだ12年以降は売上規模も1兆円を突破しました。09年には1割に満たなかった市場に占めるシェアも18年には15%程度にまで上昇しました。

低価格分野のシェアは?

\ここがポイント!/

・過去10年一貫して拡大

・売り上げ10年で24%増

・シェア5割近くに上昇

グラフ②は市場に占める低価格の衣料品の販売シェアを09年と18年で比べたものです。ここでは低価格品をシャツやカットソー、ニットなどトップが1000~4000円、ボトムが2000~4000円、アウターが1万円程度に定義し、市場に占める低価格分野の売り上げ規模を推計しています。

リーマンショック後の消費不況でファッション消費が停滞した09年の売り上げ規模は8兆7500億円でしたが、その後徐々に回復し、18年には9兆7900億円まで回復しました。規模の回復を下支えしたのは低価格品の拡大です。低価格品の売り上げ規模はこの10年で24%増加しました。

一方、中~高価格品の市場規模は、09~11年にかけて縮小し、その後増勢に転じましたが、18年の売り上げ規模は09年と比べ2.6%増にとどまっています。これはこの間、緩やかに景気回復が進んだものの、生活者の所得は増えず、ファッション消費において低価格の商品が選ばれる傾向が強まったためです。

低価格分野の衣料品は中~高価格分野が伸び悩んだ09~11年を含め、この10年一貫して規模拡大が続きました。直近3年こそ中~高価格分野同様、伸び率は鈍化していますが、市場に占めるシェアも09年の4割強から拡大し、15年以降は47%台を維持しています。

低価格の服の販路は?

\ここがポイント!/

・国内は2強が存在感

・海外小売りの参入も

・量販店はシェア低下

では、消費者の節約志向に応える形で規模を拡大したのは、どんな小売業なのでしょうか。グラフ③は低価格分野の市場規模を主要な小売業や販路ごとに分け、10年間の売上規模の変化を見たものです。量販店は衣料品販売の不振が続き、この10年で低価格分野全体に占めるシェアが2割まで低下しました。

量販店のシェア低下の要因として挙げられるのが、服の販売に特化した専門店の台頭です。ユニクロは高品質のベーシック衣料を手頃な価格で売ることで成長を遂げ、同じファーストリテイリング傘下のジーユーも低価格でマストレンドを売る手法で成長を遂げました。

この10年で見るとしまむらも低価格でトレンドを捉えた商品を売る小売業として規模を拡大しています。ファストリ傘下の2社としまむらを合計した売上規模は、09年には1兆円に満たない規模でしたが、この10年で68%増加し、売り上げ規模も1兆円を突破、低価格分野でのシェアは35%まで高まりました。

このほか、日本市場には08~09年にかけてH&M、フォーエバー21など海外ファストファッションが進出を果たしています。

またこの時期、消費停滞下で需要を喚起するため、日本のファッション業界全体で、仕入れ、販売する服の価格を引き下げる動きが広がりました。このため、3社と量販店以外の低価格分野の衣料品の販売規模もこの10年で拡大しています。

服の値段は今後どうなる?

\ここがポイント!/

・平均価格ここ数年低下

・根強い低価格品の需要

・安くて良い服が常識に

グラフ④は、衣料消費市場に占める、低価格分野と中~高価格分野のそれぞれの販売規模と服の平均価格の推移をまとめたものです。中~高価格分野はこの10年、5兆円前後の規模で推移していますが、低価格分野は18年の規模が4兆6000億円で、10年前に比べ9000億円増えました。

09年以降の消費不振の中で、消費者が低価格商品を選ぶ傾向が強まったためで、服の値段も平均単価も13年までは2200円台で推移していました。ところが14年以降は円安傾向が強まり、衣料品の調達コストが上昇しました。小売業はこの時、円安分を小売価格に転嫁し、服の値段は上がりました。

しかし景気回復の実感に乏しい消費者はこの値上げに拒否反応を示し、14~15年にかけてユニクロやセレクトショップなど価格を引き上げた専門店の収益が落ち込みました。これを受け各社は需要喚起に向け、再び価格を引き下げ始めました。この結果、16~18年にかけて平均単価は低下傾向を示しました。

低価格分野の衣料品のシェアは市場の半分を占めるようになり、ベーシックでもトレンドでもお金をかけずにファッションを楽しむことが消費者にとって当たり前となりました。服の値段の相場が低下する中、市場で選ばれるには価格帯を問わず、価格と価値のバランスが非常に重要な要素となっています。

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