こんにちは。センケンjobスタッフのエリーです。私たち「センケンjob」は、月に1度のペースで開催される勉強会「ファッションワイ」に協賛・参加をしています。この勉強会は、ファッションに関して体系的に学べる場を提供する「ファッションスタディーズ」が主催し、学生に向けてファッション業界で活躍する先輩たちにファッション業界のお仕事についてリアルな視点で話してもらうもの。文化服装学院さんに会場を借りて、月1ペースで開催をしています。
7月20日に開催された会では、「マウジー」や「スライ」など若い女性に人気のブランドをグローバルで展開するバロックジャパンリミテッドのブランドの1つ、「ハウスコミューン」ディレクターの下中さんが講師をしてくださいました。
ハウスコミューンは、「移り行く時代の中で進化を続けるベーシックなアイテムを再考し注意深く見つめ、着心地・品質・ディテール・佇まいを大切にして、普遍でありながらも新しくもあるデイリーウエアを提案する」をコンセプトに、大人の女性のエフォートレススタイルを提案するブランド。最近では17年秋冬の東京コレクションにてアマゾンジャパンがサポートするプログラム「アットトウキョウ」 に選ばれました。
House_Communeホームページ
【参考記事】
アマゾン・ファッション・ウィーク東京17年秋冬 アットトウキョウが始動 「よく知ってるのに、どこか違う」が魅力(繊研plusより)
【参考動画】
下中さんは短大卒業後、航空会社に就職。その後、ファッション業界に転職し、現在はディレクター業を育児と両立しながらこなしていらっしゃいます。仕事をする上で大事にしていること、ディレクターの具体的なお仕事について、上司から学んだことを語っていただきましたので、その様子をレポートをいたします。ディレクターのお仕事に興味がある方、バロックジャパンリミテッドに就職したい学生はチェック・チェック!
- はじめての就職:CAのお仕事
- 転職①セレクトショップのPR
- 転職②外資系のマーケティング&PR
- ディレクターのお仕事について
- ディレクターに求められるスキル
- 上司からの名言集
- 学生時代にやるべきこと
CAのお仕事
叩き込まれた”プロ意識”
短大の家政科に所属し、栄養学、被服の勉強などをしていた下中さんですが、「当時は洋服をつくることが苦手でした」と振り返ります。就活では、「人と接して喜んでもらうことは向いている」と思い、航空会社に就職。キャビンアテンダントとなりました。入社後の約1カ月半の訓練期間中は「電話帳のような分厚いマニュアルを必死で覚えました」と語るくらい厳しいもので、”お客様の前では新人も20年のベテランも同じ客室乗務員だ”と徹底的にプロ意識を叩き込まれたといいます。
入社当初は国内線からスタート。その後、国際線やチーフパーサーなどの経験を積み、自分のやりたいことをどんどん実現させ、最終的には営業職となりました。売れ行きの悪い路線を改善するためのツアーを自ら企画してメディアへ売り込む仕事に携わったとき、「誰かが抜けても回るように完璧に出来上がった仕事」よりも、「1から10まで自分じゃないとできない仕事」の面白さがあることを初めて知り、そのまま客室乗務員には戻らず、転職することを決めました。
転職①セレクトショップのPR
地道な積み重ねで、世界のメディアも注目
航空会社を退社後、自分の好きな洋服に携わる仕事がしたいと思い、たまたま縁があったセレクトショップのPRとなりました。まずはファッション業界の流れを知るために、店頭の販売からスタート。数ヵ月後、ようやくPRとなったのですが、「PRの仕事が何をしたらよいのかさっぱり分かりませんでした」。そのショップは当時変革期でイメージの刷新を試みていたタイミング。モード誌へに連日のように電話営業をしましたが、ほとんどが門前払い。悔しい思いをしましたが、「いつか商品を貸してほしいと言われるようになろう」と心に決めて、地道にいろんなイベントを回ったり、営業を続けました。
転機は、海外ブランドの「バレンシアガ」が日本にちょうど入り始めた頃。下中さんはパリに出張し、本国「バレンシアガ」のPRに自身のショップのことを熱心にアピールした。後日、リース依頼をしたところ、快く貸りることができ、雑誌社からのリース依頼が一気に増えました。他にも「ジョンガリアーノ」のショーにVIP顧客をフロントローに招待してもらったり、「シャネル」とのコラボレーションイベントにも成功。「あのショップに頼めばいろいろやってくれるらしい」と噂が国内外のメディアに広がり、見事ブランドイメージを転換させることに成功しました。
転職②外資系のマーケティング&PR
ヒット商品は、クリエイティブなアイディアから生まれる
あるニューヨークコレクションブランドがジャパン社を立ち上げる際に、下中さんは先方から何度かラブコールを受けました。英語力には自信がなかったものの、思い切って転職。ジャパン社設立のタイミングだったため、ペンの発注業務から直営店オープニングに合わせたイベントの運営まで幅広い業務をこなしました。出産を経験した際にはニューヨークの女性社長から「いつ戻ってくるの?私は産後1週間で海外出張に行ったわよ」と言われ、ニューヨークの女性のパワフルさを実感しました。その結果、3ヶ月で職場復帰。当時の日本のファッション業界ではPRの産後復職は難しいとされていたので、周囲からも大変驚かれたようです。
途中からはマーケティング業務にも携わるように。ヒット商品を作り、プラスアルファの売上げを作るために、商品を穴が開くほど見て研究したそうです。思い出に残っているのは、同ブランドの代名詞ともなったバッグのPR。その当時の女性の気持ちをこめてデザインされたバッグですが、コンセプトに合わせたローンチイベントを企画・開催。結果、イベントは大成功を収め、最終大ヒット商品と言われるバッグに成長させました。
ディレクターのお仕事とは?
「ブランドの質に責任を持ち、ビジネスを拡大していくこと」
「ハウスコミューン」は少人数のチームで成り立っています。下中さんはディレクターとして、ブランド全体を俯瞰した目線で捉え、デザイン・PR・生産管理・営業を1つにまとめてブランドとして成立させる役割を担います。実際の業務内容もデザインやPR、営業、マーケットリサーチなど幅広い。年2回のコレクションにむけて半年サイクルでコンセプトを決め、組み合わせやバランスを考えながら商品を作るだけでなく、ブランドやシーズンテーマに合わせた印刷物のフォントや色選定など細部まで携わります。
考えるための時間を作る
「ディレクターの仕事に就いてから考える機会が多くなりました」と語る下中さん。常に全体のプランを組み立て、優先順位を決めてから動くようにしているそうです。「本来やるべき重要な仕事が、緊急の仕事によって回らなくなることを避けるため、締め切りぎりぎりの仕事をなるべくしないようにしています」。また、早寝早起きも大切にしています。朝・5時半に起きてお弁当や子供を見送ってから会社に行くまでの数時間は、下中さんがゆっくりできる唯一の時間。その時間を「頭の中の整理ややるべきことの整理に充てる」など様々な工夫をしながら、仕事と子育てを上手く両立させています。
面白さは、新しい概念をつくること
「ディレクターは、与えられた食材の中で調理をするシェフのような仕事ではなく、肥料や畑作りから野菜を創り出す”0から1を創り出す”仕事。今までになかった新しい概念を作り、定着させていく過程が面白い」と語ります。例えばハウスコミューンの人気商品「ニュートラルデニム」は、一般的なデニムの既成概念にとらわれず、「自分たちが着たいデニムはなにか?」を追求したもの。その結果、試着後の購入率が高いヒット商品となりました。
ディレクターに求められるスキル
プレゼン力とコミュニケーション力
1つのプロジェクトをメンバー全員で形にしていくことが多いため、皆が同じイメージを持てるように、自分の頭の中を個々の担当者に分かりやすく伝えるプレゼン力、コミュニケーション力が必要だといいます。「例えば、“エレガント”という言葉1つでは、抱くイメージは各自で異なりますよね。沢山の言葉を駆使して私の思い描くエレガンスのイメージを説明し、皆が同じイメージを持てるように伝えるスキルを磨かないといけないと思っています」
グローカルな視点
グローバルな視野を持ちつつ、ローカルに活用する”グローカル”な目線。普段の仕事では狭い世界に入りがちなので、積極的にファッションはもちろん、世界の動きや、経済の動きにも目を通すようにしているそうです。
その他、”判断力”や、今自分や社会がどんな気分なのか盛り込む”マインド要素”も重要だと語ります。
上司からの名言集
1.”金でラグジュアリーなものをつくることは簡単。でも、木だったらどうやってラグジュアリーにする?”
「『どんな職種でもクリエイティブな考え方が大事。与えられた簡単な方法ではなく、アイディアがあればどんなことでもできるし、新しい時代を作っていけるよ』と言われたことが心に強く残っており、困難に直面した時には、この言葉を思い出すようにしています」
2.”やりたいと思ったことはやれることだから、やってみたら?
「とてもしっくり来た言葉です。どんな成功者でも最初は素人。新しいことでもやりたいなと思ったら、挑戦するようにしています」
3.”売れなければ、ただのゴミ”
「衝撃的な言葉でした(笑)。気持ちでのめりこんでも、ビジネスである以上最終的に売れて結果が残らないと労力の無駄。この言葉を聞いてから、イベントや商品を企画をするにあたっては、ゴミにならないかどうかいつも意識しながら、仕事をするようになりました」
学生時代にたくさんの経験を!
下中さんは、学生時代や転職を通じた多くの経験が今の仕事にもつながっていると語ります。「どんなコトでもいいので沢山経験すると必ず役に立つ時がきます。例えば、私は学生時代はスポーツに熱中し、高校時代はヨット部に所属していました。真冬に海に入るなどつらいこともあったけれど、上達をしていくのが楽しいと思えることや、かけがえのない一生の友人ができました。経験を通じて様々なことを吸収するべきだし、悔いを残さないようにしてほしい。私は留学しなかったことが心残りです。言葉を知ることで、世界中の多くの人達とコミュニケーションができます。もし留学したいと思っている方がいらっしゃったら、私のように後悔しないようにしてくださいね」
エリーの取材後記
今後は「視座を高め、商品だけでなくブランドの世界観をさらに広げ、育てていきたい」と目を輝かせて語る下中さん。毎朝5時半に起きて、育児も仕事も効率良く、マルチタスクでこなせるのは、これまでのCA時代やセレクトショップPRの経験が活きていいるからだと話を伺い、納得しました。夏休み、皆さん何か新たなことに挑戦してみては?下中さんの言葉にのあったようにやりたいと思えば挑戦すべきですね。私は資格を秋に向けて勉強します!以上、次回もお楽しみに!
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