
皆さんは販売の仕事にどんなイメージを持っていますか?休みが取りにくそう、給料が安そう、立ち仕事が大変そうといった意見をよく耳にします。「ファッションの仕事に興味はあるけど販売の仕事はしたくない」という 方も少なくありません。
しかし、ファッション業界のさまざまな職種で活躍している方たちに話を聞くと、逆に「販売の現場感覚は今の仕事をする上で絶対に必要です」と話す人が非常に多い。また、感覚を忘れないために、定期的に店頭に立 つという方も多くいます。
16年6月1日に設立された日本プロフェッショナル販売員協会(JASPA)理事長のエマニュエル・プラット氏も、「店頭や接客の経験がなければ、マネジメントの仕事を希望したとしても採用することは 難しい。それだけ現場の経験が大きな財産になる」と答えています。
今はプロダクトアウトではなく、マーケットインが主流。お客の求めていることを感じ、市場で当てることが求められています。また、現場の声を商品作りに生かす仕組みがあれば、販売をしながらモノ作りに関わることはで きます。更に、この後に紹介するケイト・スペード ジャパンのように、販売スタッフが特別な役割を担う事例もあります。「販売のスタッフが社内で最も評価されるべきだ」と発言する経営者も以前より増えている傾向です。
自分で決めつける のではなく、その企業が考える販売の仕事がどういうものなのかを事前に理解しようとする姿勢が必要なのです。
ケイト・スペード ジャパンの取り組みから見る、新しい販売職のあり方とは
販売スタッフを、ブランドを表現する「ミューズ」と位置づけし、高いモチベーションを持って活躍できるプロジェクトをスタートさせたケイト・スペード ジャパン。
ストア部タレントディベロップメントの森一美さんに導入の狙いを伺いました。
「販売職の呼称をミューズに改め、より愛されるブランドを目指すミューズプロジェクトがスタートします」と語る森さん。
「ミューズは単なる販売職ではなく、お客様の人生に寄り添い、インスピレーションを与えるブランドの表現者。この商品を身に着けたら、こんな素敵なことが起こるのでは?といった、個々のライフシーンに踏み込んだ商品提案や会話を通じて、お客様の新たな魅力を創出、新鮮なブランド体験を提供する。それがミューズの役割です」。
ミューズに出会い、ブランドを身に着け、素敵な出来事があれば、またお店に行きたくなる。そんなサイクルを育てたいと森さん。ミューズたちが活躍する日は近い。
店長から本社勤務へキャリアアップした中村さん(右)と入社1年目の深谷さん(左)
ーミューズプロジェクトとはー
ミューズプロジェクトはケイト・スペード ニューヨークの世界的な販売スタッフ育成プロジェクト。日本では2017年4月入社の新人からミューズ育成の教育・研修がスタートする。ミューズを目指す絶好のチャンスだ。
ー女性が輝く職場環境・制度を構築ー
女性がイキイキ働ける環境づくりにも注力。結婚・出産などのライフイベントを応援する制度や販売職から店長、本社スタッフなど幅広いキャリアップの道が用意されている。今後は新卒採用を一段と強化するとのこと。