【アパレル業界ランキング】商社・繊維事業2016年度業績編 厳しい結果も底力を示す

  • 2017年11月07日更新
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商社の2016年度繊維事業の売上高は、連結、単体を組み合わせたランキングで全社が減収となりました。26社合計では2015年度比6.4%減の2兆4720億円と大幅な落ち込みでした。過去6年、常に右肩上がりだっただけに、国内ファッション市場の深刻さがうかがえます。

ただ、業務改善や重点顧客との取り組み強化の結果、増益を確保した企業が目立ちます。OEM(相手先ブランドによる生産)の収益拡大は限界ともされるなか、底力を示したと言えそうです。

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◆自助努力でしのぐ

繊研新聞社では毎年、商社の業績調査を実施していますが、連結、単体を組み合わせるランキングを作成し始めて以来、全社が減収となったのは初めて。2009年度に比較可能な28社で11.7%減だったことはありますが、その時でも3社は増収を確保していました。それだけ2016年度はアパレル市場が不振で、商社にとって厳しかったと言えます。

とはいえ、繊維カンパニーの純利益が107億円増の252億円だった伊藤忠商事をはじめ、利益面では結果を残した企業は多くあります。日鉄住金物産は繊維事業本部の経常利益が27%増の54億7100万円で、中期経営計画(15~17年度)の最終年度の目標を前倒しで達成。総合商社のOEM子会社も軒並み堅調でした。市況が悪いなか、自助努力でしのいだ形がはっきり表れています

伊藤忠商事の繊維カンパニーは単体では売上高3153億円だが、IFRSの連結ベースでは外部顧客からの収益が5280億5000万円に上ります。東レグループも東レインターナショナル、蝶理、一村産業、丸佐の繊維事業を単純に合算すると約4000億円となります。かつて上位だった三菱商事、三井物産、丸紅が繊維のくくりで売上高を公表していないため比較が難しいですが、規模では伊藤忠商事、東レグループが抜きん出ています。

なお、三井物産のファッション・繊維事業部は約2000億円、双日の繊維事業部は約1000億円の規模となっています。

◆取り組み強化掲げ

一方で、今後も自助努力が実を結ぶかは判断の難しいところです。ただ、各社は収益拡大に向けて手は打っており、顧客との取り組み強化を掲げるケースが目立ちます。一般に商社が言う「取り組み」とは、資本関係には至らなくても、共同での素材開発、製品企画を実施し、安定的かつ長期的で一定のビジネススケールを確保できるというもの。取り組みの名を借りて「無理難題を押し付けられることもある」との声もありますが、好調なアパレルやSPA(製造小売業)が少ないなか、有力顧客と取り組むことは収益の安定、拡大の大切な要素で、2017年度も取り組みの推進がカギになります。

取り組みを進化させ、顧客をトータルでサポートする動きも出ています。三菱商事ファッションは今年6月、マーケティング研究所を設立しました。アパレル、生活雑貨企業の戦略策定から実行まで一貫でサポートするのが特徴で、顧客の事業運営の改善に向けた考察、提言を行います。ヤギの動きも独特で、ヤギグループとバースデイが設立したボールドマンが、消費者ニーズを把握し、ブランディング、商品企画、店舗設計、販売促進・PRまでをサポートするビジネスに着手しました。いずれも単なる製品供給にとどまらない、既存のOEMの先をにらんだ動きです。

取引先の業種・業態ではここに来て、こぞってアプローチを強めているのがドンキホーテホールディングス(HD)やEC。特にドンキホーテHDへの関心は強く、ブームを思わせる流れにあります。ECについては、ECで販売する既存のアパレル、セレクトの専用商品の開発、さらにはEC専業企業との取引拡大に期待が高まっています。    

順位 社名( )のないものは連結 売上高(カッコ内は前期比伸び率%、▼は減・赤字)
1 伊藤忠商事(単体) 3153億円(▼10.4%)
2 東レインターナショナル(単体) 2616億円(▼4.2%)
3 豊田通商 2056億円(▼10.6%)
4 帝人フロンティア(単体) 1953億円(▼3.7%)
5 豊島(単体) 1767億円(▼3.9%)
6 日鉄住金物産 1609億円(▼8.6%)
7 GSIクレオス 1154億円(▼8.2%)
8 ヤギ 1124億円(▼2.5%)
9 蝶理 1110億円(▼5.2%)
10 モリリン 1093億円(▼4.6%)
11 田村駒 898億円(▼4.9%)
12 スタイレム 878億円(▼2.2%)
13 住友商事 769億円(▼6.9%)
14 タキヒヨー 724億円(▼8.3%)
15 瀧定名古屋(単体) 660億円(▼4.0%)
16 旭化成アドバンス(単体) 528億円(▼2.6%)
17 クラレトレーディング 432億円(▼1.2%)
18 東洋紡STC(単体) 340億円(▼3.2%)
19 八木通商 313億円(▼3.8%)
20 ユニチカトレーディング(単体) 282億円(▼11.6%)
21 信友(単体) 274億円(▼8.0%)
22 三共生興 269億円(▼14.0%)
23 クラボウインターナショナル(単体) 222億円(▼12.4%)
24 チクマ(単体) 217億円(▼3.6%)
25 一村産業 162億円(▼4.2%)
26 丸佐(単体) 117億円(▼0.2%)
  合計 2兆4720億円(▼6.4%)

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