若手デザイナーの語る“学生時代はこう過ごせ” 新進ブランド「テンダーパーソン」インタビュー

  • 2017年07月22日更新
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ファッション業界内でジワジワと評価を高めている新進気鋭のドメスティックブランド「テンダーパーソン」(TENDER PERSON)。デザイナーのヤシゲユウトさんは、文化服装学院に在学中に同ブランドを立ち上げただけでなく、実は就活も経験しているという少し変わった経歴の持ち主です。

今回は、ヤシゲさんに在学中にブランドを立ち上げるに至った想いや学生時代の過ごし方、就活の経験などを語って頂きました。

「学校生活がこのままで良いのか」「今の自分には何かが足りない」と悩んでいる方、服飾専門学校生や将来デザイナーを目指す皆さん必見です。

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――在学中にブランドを立ち上げた経緯を

2013年に文化に入学し、2年生の時にブランドをスタートしました。きっかけは「リアルなファッションビジネスの流れを知りたい」と思ったこと。在学中って意外と自身のクリエーションを発表する場が少ない。デザイン画を応募するコンペや、授業中に先生に作品を見てもらうという流れが中心なので。もちろんそれで学ぶこともたくさんあったのですが、僕はもっと、着てもらって、消費してもらいたいと考えていましたし、展示会を開いてお客さんを招待し、購入してもらうところまでを経験したかった。なので、自身でブランドを立ち上げました。

――学業との両立で大変だったことは?

両立を大変だと思ったことはありません。学べることはどんどん吸収したいと思っていましたし、そのために入学したので。ただ、ブランドを運営するという意味では大変なこともありましたね。一番は「ブランドとして認識されない」こと。どうしても“学生がやっている”という見え方が強くなってしまいますし、メディアに取り上げられても、服を作る過程でのやり取りでも、そのイメージは強かったですね。「1つのブランド」としてのイメージを確立するのには苦労しました。

 

――どんな学生時代を過ごしました?

1~2年生の頃はギラギラしていましたね(笑)。僕の通っていたコースはデザインやパターン、縫製など物作りの基礎が丁寧に学べる場で、そこはとても勉強になりました。一方で「ブランドをやりたい」と思って入学したこともあり、「作ることだけを学ぶのはちょっと違うかも」という感覚もあって。

だからこそ僕は「放課後の過ごし方」を重要視していました。授業は集中して受けて、放課後は経験値を増やすために、とにかくフットワーク軽く遊ぶ。それこそ僕らの頃はスナップを撮られることが流行っていたので、原宿に行って、服を見て、ラフォーレの前でたまって。夜はクラブやイベントに行って、終電で帰る。そうやって毎日のように、とにかく人に会ってくだらない話をするという経験が、今も非常に生きている。デザインをするにはインプットの量を増やさないとアウトプットできませんし、そうやって築いたネットワーク、人とのつながりは今も貴重な財産になっています。

せっかくの学校生活で、「課題が溜まっているから時間がない」とか「課題をこなすだけで一日が終わる」ってもったいないじゃないですか。服を縫うことができるようになっても、それだけじゃ本末転倒です。服を見なければトレンドも分からないし、街に出ないと時代感も分からない。だからって授業や課題をおろそかにしてはいけない。僕は夜まで遊んで、徹夜で課題を終わらせたりしていました。仕事もそうじゃないですか。他にやらないといけないことを、どれだけ時間を作ってやれるか。そこがカギだと思いますし、学生の間はとにかく放課後の過ごし方を大事にして欲しい。

そういえば先生にも恵まれましたね。1年の時に「学校は基礎を学ぶところ。それを生かすためにもフットワーク軽く遊んで、いろんなネットワークを築きなさい」と言ってもらえて。その言葉は今も大切にしています。

 

――なぜ就活を?

目標はずっと変わらずに自身のブランドを運営することだったのですが、在学中にいざブランドをやってみると展示会1つとっても分からないことばかりで。圧倒的にスキルや経験がないと感じていたので、まずはスキルを身に付けるためにも就職するつもりでした。

 

――どんな就活をしたのですか?

ぶっちゃけ、就活も分からないことだらけでした。企業説明会に行っても企業の概要しか分からないですし。僕の場合は、分からないからとりあえずチャレンジしようと思って、学校で実施されている企業とのマッチング会に参加しました。学生側がブースを構え、ルックやポートフォリオを用意して企業側にプレゼンテーションする形です。そこで名刺交換した企業に自分からアプローチし、面接を経てデザイナー職で内定を頂きました。

 

――結果として就職はしなかった

非常に良い会社でしたし、アルバイトで働かせて頂いたのですが、実際に体験してみると自分のやりたいこととのギャップがあって。ちょうどその頃、現在も一緒にブランドを運営しているビアンカと本格的にブランドに取り組むかどうかの話をしていた時だったこともあり、「本気で自分のブランドと向き合おう」と決意しました。

 

――就活で感じたことは?

僕も含めて、何をすれば良いのか分からないという学生が非常に多かったというのが率直な感想ですね。情報が多すぎて、どれを選んだら良いのか分からない。もちろん学内でガイダンスなどもあるのですが、自分事にはなっていない感覚もありましたし。そこはやはり、自ら知ろうとする、学ぼうとする努力が必要ですね。

例えば、多くの人が、自分の好きなブランドや有名なデザイナーズブランドなどを受けようとしますが、それだけでなく、もっと調べたほうが良い。例えば、テキスタイルメーカーや工場に就職することって本当はすごく魅力的じゃないですか。自分がいつかブランドをやろうと思ったときに、そのバックグラウンドがあると強いですし。10年先のビジョンを見据えて就活するほうが、得る物は大きいと思います。

 

――学校生活を有意義に過ごすためのアドバイスを

僕の時もそうでしたが、全体的にチャレンジしない傾向は強まっていると思うので、そこはもったいないなと思います。学校のカリキュラムが密なのは分かります。でも、それをこなして「やってる風」で満足してしまうと受け身で終わってします。

忙しいことを、どれだけ忙しくないと捉えられるか。そしてフットワークを軽くすること。実際にフットワーク軽く動けているのは一部だけ。でも、そこで差が付くと思います。

 

――自身のように在学中にブランドを立ち上げる学生は増えて欲しい?

客観的には増えて欲しいと思いますし、見てみたい。いまは1学年に1人いるかいないかなので、そこが増えてくればもっと面白くなると思います。ちょっとでも「やってみようかな」と思うならやるべきだし、「今は違うかな」と思うならやらないほうが良い。ただ、芽が出るか、花が咲くかは未知なので、経験者からするといばらの道ではありますが(笑)

 

――最後に、テンダーパーソンの今後のビジョンを教えてください

近い目標として掲げているのは、都内に自身のブランドのショップを持つことですね。また、異業種とのコラボレーションにもチャレンジしてみたい。アーティストのスタイリングにも挑戦してみたいですし、何かのパッケージをデザインするなどディレクション的な取り組みも楽しそう。でも、何よりもまずはテンダーパーソンの服を多くの人に知ってもらい、ファッションが好きな人たちに着てもらえるように頑張りたいと思います。

 

TENDER PERSON 2017-18年秋冬 コレクション

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