【アパレル業界・基礎講座】 海外生産編 服をどこから輸入しているのか?

  • 2018年06月29日更新
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前回までは、日本の小売市場で売っている衣料品のほとんどが海外からの輸入で、国内生産はごくわずかしか残っていない現状について見てきました。日本の衣料品消費市場における輸入浸透率はいまや97%を超えます。

今回は、供給を支える海外生産で、日本はどういった国からどんな製品をどれだけ輸入しているのか見ていきます。

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過去10年の輸入推移の特徴は?

  • 数量は13年がピーク
  • 金額は15年が最高
  • 中国シェア低下続く

日本はどれくらいの衣料品を輸入しているのか。数量と金額の10年間推移をまとめたのがグラフ①です。毎年、数量は35億点以上が輸入されており、過去10年で見ると、11~13年の時期に輸入がもっとも多くなっており、13年の39億9900万点が輸入量としては史上最高です。

一方の金額は過去10年で見ると、15年が最高の2兆8894億円でした。13年より数量が少ない15年の金額が大きいのは、輸入取引の調達コストは為替レートの変動に左右されるためです。09~13年までは1ドル=80~90円台だった為替が14年から円安に転じ、その影響が15年の輸入金額に出たわけです。

日本がもっとも多く衣料品を輸入している国が中国です。豊富な労働人口とコストの安さ、地理的に日本に近接している、と条件が揃っていたため、90年代に日本のメーカーも生産地をこぞって移転し、現地メーカーも日本向けの輸出に力を入れたため、日本のアパレル産業の中国依存が進みました。

ただ、その後、中国が発展し、経済大国化が進むと、生産コストが上昇しました。この結果、中国以外の国からの輸入が00年代から増えました。過去10年で見ると、07~09年までは輸入全体に占める中国のシェアは数量ベースで9割を超えていましたが、その後低下し、16年は7割を切りました。

中国プラス1の規模は?

  • 00年代半ばから拡大
  • 16年は輸入の3割に
  • ベトナムが中国に次ぐ

過去10年で輸入全体に占める中国のシェアが低下し、代わって中国以外のアジア諸国での生産が増えました。日本のアパレル産業で中国一極集中を避け、新たな生産国を模索する動きは00年代の半ばから進み始めたのですが、こうした国々を「中国プラス1」と呼びます。

グラフ②は輸入に占める中国と中国以外の国々のシェアの07年と16年の比較と、16年の輸入に占める中国以外の国ごとの輸入シェアを数量ベースで表したものです。前項で見たとおり、中国のシェアはこの10年で9割強から7割弱まで低下しています。

では、中国以外で、輸入の多い国はというと、棒グラフにあるとおり、16年ではベトナムがトップで中国以外の国からの輸入全体の3割強を占めます。開放政策路線をとって以降、欧米向けの生産も増えたほか、日本のメーカーや商社から技術指導や投資を受けた工場も多く存在します。

次いで多いバングラデシュはH&MなどグローバルSPA(製造小売業)も活用しているアパレル生産大国で、日本の生産も00年代以降、ミャンマーやカンボジアとともに拡大しています。インドネシアやタイは日本が古くから活用している生産国ですが、中国プラス1の一角として定着してきました。

国別の輸入量とコストは?

  • 中国はオールラウンダー
  • ベトナムは中~高級品も
  • バングラはニットに強み

主要輸入相手国からの輸入量と品目ごとのコスト競争力を見ていきましょう。表①は16年の輸入量上位国のアパレル輸入の数量と金額、製品の平均単価をまとめたものです。全体で見ると、輸入数量は前年比微増ですが、金額は減少しています。これは16年が15年と比べ若干円高になったためです。

表で見ると、数量で7割弱、金額で6割強を占める中国が輸入相手国トップです。近年は経済発展に伴い、生産コストは上がっていますが、ニット衣料、布帛衣料それぞれの製品の平均単価も全世界平均を下回っています。これは生産規模が大きく、幅広いアイテムを作っているためです。一方、規模で中国に次ぐベトナムはニット、布帛ともに平均単価は中国より上です。これは中国が低価格から中~高価格まで、様々な価格帯の製品を生産しているのに対し、ベトナムでは、手先の器用な国民性を生かし、早くから中~高級品の生産を強化し、中国とは違う調達メリットを追求してきたためです。

バングラデシュは欧米市場向けの生産も多く、カットソーなどニット衣料でコスト競争力があることが分かります。他に輸入が増えているカンボジア、ミャンマーでは、布帛製品の単価が中国より高いのですが、これはスーツやダウンジャケットなど手の込んだ製品の生産が多いためです。

アイテムごとのシェアは?

  • 中国は主要品目でトップ
  • ベトナムは全体の10%
  • インド、カンボジアも台頭

ここまで、国別でシェア、コスト競争力を見てきましたが、アイテムごとの生産規模や価格はどうなっているのでしょう。表②は、日本で売られている主要なアパレル製品の輸入に占める国別のシェアと平均単価を輸入量トップの国と2位の国で比べたものです。

07~16年にかけて徐々にそのシェアが低下しているとはいえ、主要アイテムの輸入量トップは軒並み中国です。個別には、Tシャツやメンズの布帛製品などシェアが5~6割まで低下したアイテムもありますが、輸入量自体が大きいセーター・カーディガンでは数量で7割を依然として維持しています。

一方、輸入全体で中国に次ぐ2位はベトナムです。ニット、布帛衣料ともに、全体に占めるシェアが10%強にまでなっています。

ただ、アイテムごとには紳士物でミャンマー、婦人服でカンボジア、インドなどベトナム以外の中国プラス1の存在感も高まってきているのも近年の特徴です。

各国からのアイテムごとの輸入シェアの増減を見ると、中国のシェアは低下する一方、2位に付けた国々のシェアは上昇しています。このことから見て、今後も中国以外の国からの輸入は増え続けるでしょう。ただ、地理的に日本に近く、生産規模も大きい中国も当面、存在感を維持するものと思われます。

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