【アパレル業界・基礎講座】服はどこで作られている?

  • 2018年07月23日更新
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日本の衣料品消費市場で、低価格で買える服の販売が増え、市場でのシェアが拡大していることと、そうしたリーズナブルな服を売る小売業として専門店の存在が大きいことを見てきました。

今回は、日本の市場に供給される服がどこで作られているのか、学びます。

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低価格はどう進んだ?

  • 市場全体の回復をけん引
  • 消費者の価格指向を反映
  • 市場の5割弱にまで拡大

グラフ①は、衣料品の消費市場の過去10年の金額と数量の推移を棒グラフで、低価格分野の拡大の様子を折れ線グラフで表したものです。前回までに見てきたとおり、金額ベースの市場規模は、12年から上昇し、15年には10年前と同水準まで回復したものの、16年は横ばいで推移しています。

一方、供給数量は11~13年をピークに、14、15年は減少しています。この時期は円安に伴い、商品価格を業界が引き上げたものの、消費者が値上げを受け入れず、消費が鈍化した時期と重なります。この結果を受け、16年は価格を再度引き下げる動きが増え、供給数量は前年より若干回復しています。

日本の消費者が服の価格に敏感になっていることは、この間の低価格分野の売り上げ規模の推移に見ることが出来ます。折れ線グラフは棒グラフとほぼ同じカーブを描いており、11年から15年まで続いた市場全体の規模の回復は、価格訴求ニーズに応えることで進んだと言えます。市場に占める低価格分野のシェアは、10年前の4割から、15年には5割弱の水準まで上昇しました。ただ、14、15年の価格引き上げの影響が続き、金額の市場規模が前年とほぼ横ばいにとどまった16年は、低価格分野の売り上げ規模は微増にとどまり、シェアも前年に比べ伸びませんでした。

市場への供給源は?

  • 90年代に海外シフト
  • 輸入が圧倒的シェアに
  • 国内生産はごくわずか

日本市場への服の供給源は国内生産と海外生産に二分されます。国内生産量と海外からの輸入数量の過去10年の推移を表したのがグラフ②です。日本の市場で売られる服のほとんどは輸入であり、国内生産が占める余地が極めて小さいことがグラフを見るとわかります

一般に欧米など先進国市場では、自国生産よりコストの安い海外生産で製品を調達する比率が高いのですが、日本でアパレル製品の輸入が増え始めたのは、1985年のプラザ合意以降です。この時を境に円高が進み、90年代に入ると、急速に市場への供給の主力は海外生産にシフトしていきました。

1980年代初頭までは国内生産の方が多かった供給構造もすぐに海外生産が上回るようになり、国内生産は空洞化が進みました。輸入主力で市場に供給される服の数量自体も増えていきました。ただ、90年代の初めまでは、海外生産は価格の安い実用衣料を売る小売業向けの供給が主流でした。

その後、海外生産の品質が向上すると、百貨店や中級品以上の服を販売する専門店にも海外生産が浸透していきました。グラフでわずかに残る国内生産が縮小の一途なのに対し、輸入は増減が変動しているのは、輸入が完全に供給の主力となっているため、年ごとの消費の勢いの影響を受けやすいからです。

輸入量はどれくらい?

  • 過去10年35億枚超
  • 国内生産は1~2億枚
  • 輸入浸透率97%超に

では、海外生産の規模と、日本の衣料品消費市場における輸入浸透率はどれくらいなのでしょうか。過去10年間の国内生産、輸入、輸出の推移と、国内生産と輸入を合算し、そこから輸出を差し引いて算出した国内供給量、その中で輸入が占める比率をまとめたものが下記の表です。

前項で見たとおり、ボリュームを占める輸入は景気などの動向により年ごとの増減が見られますが、国内生産は一貫して減少しています。輸出は年によって増加している場合もありますが、その規模はもっとも多い07年で1億点程度であり、常に35億点を超える輸入と比べ、微々たる数字です。

実際、日本の服の輸入浸透率は03年には90%を突破し、その後もじりじりと上昇を続けています。直近の3年では97%を超えました。

輸入浸透率からもわかるとおり、日本のファッション小売りで売られている服に付いたタグに「メイド・イン・ジャパン」の表記を見つけることはかなり難しい状況といえます。

ここ数年、インバウンド(訪日外国人)の増加で日本製のファッションへの需要も盛り上がりを見せており、一部に国内生産で良い製品を作ろうとする機運はあるものの、国内生産が減り続けている現状と併せて考えると、そうしたニーズに十分に応えることのできる余力は国内生産には残されていません

どこから輸入している?

  • 08年まで中国のシェア9割
  • その後シェアは徐々に低下
  • 16年は中国以外で3割

前項で見たとおり、いまや、日本のファッション産業は、市場で販売される服の97%以上を海外生産で調達しているわけですが、どの国からの輸入が多いのでしょうか。グラフ③は、過去10年の中国と、中国以外の国からの輸入数量がどのように推移したかを表したものです。

トータルで見ると、ファッション消費が低迷し、価格訴求の流れが強かった08~10年の輸入量は36億~37億点で推移していましたが、消費に回復傾向が見られるようになった11~13年は、38億~39億点で、最も多い13年は40億点近いレベルまで輸入量は増えました。

グラフでわかるとおり、この10年でもっとも多いのは中国からの輸入ですが、そのシェアは徐々に低下しています。07~09年までは全体の9割でしたが、10~13年は8割台、14、15年は7割台、16年には6割台まで低下しました。輸入量そのものも14年以降減少が目立ちます。

これは、市場への服の供給を担う海外生産で、中国への一極集中が強まりすぎていたことへの反動によるものです。実際、中国のシェアが低下し、輸入量自体も減少している一方、中国以外の国からの輸入はこの10年一貫して増加が続き、1割に満たなかった07年に対し、16年には3割まで上昇しています。

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