【アパレル業界・基礎講座】 アパレルの製造工程で今起こっている変化とは?

  • 2018年02月15日更新
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市場で売られる衣料品は、どのような経路を通って消費者の元に届くのでしょうか。今回は、生産、流通のあらましと、もの作りや販売の最近の変化について解説します。

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デジタル化で変わる製造工程

図①

衣料品は英語でアパレル(APPAREL)と呼び、業界では製品だけでなく、製造する企業もアパレル(メーカー)と呼びます。業界ではアパレル製品の製造工程を川の流れに例えて、原料から生地を作る「川上」、生地や糸からアパレル製品を作る「川中」、出来上がった製品を売る小売りからなる「川下」の3段階で構成されています。

アパレルを作るサプライチェーンは概略、図①のように各段階を様々な企業やリレー方式で担う形で成り立っています。ただ、この構造はここ数年のグローバルなデジタル技術発展に伴い、少しずつ変わりつつあります。

消費者起点のサプライチェーン

図②

これまで各段階で多くの企業が分業することでアパレルは作られていたのですが、最近ではサプライチェーンの進化が進んでいます。

日本では政府が「コネクテッド・インダストリーズ」という産業のあり方を提唱していますが、これは、図②のように消費者の変化を起点に、デジタル技術によってアパレルや小売り、工場や倉庫など関係する企業同士がつながることを指します。リレー方式から消費者のニーズを起点に各段階の企業が一体となってもの作りする仕組みです。

SNS(交流)を通じて消費者の好みや嗜好(しこう)の変化をビッグデータとして収集、それを元にAI(人工知能)を使って売れる商品を売れる量だけ予測して作る。これで売れ残り(在庫)を減らし、効率的な事業が可能になります。

こうしたデジタル投資による工場の「スマートファクトリー」化を進めたり、消費者個々人のサイズや好みに合わせてパーソナライズ化したオーダーメイドも注目されています。

ネットとリアルを継ぎ目なく

川下に当たる小売りでも、消費者の商品購買の手法の変化が影響を及ぼしています。以前は、ファッション製品はリアル店で買うことが主流でしたが、最近はネット販売(EC)が急増しています。パソコンに加えてスマートフォンが普及し、より手軽にネットで買い物が出来るようになったためです。ファッションを売る側は、リアルとネットを継ぎ目なく結ぶ「オムニチャネル」の商売の仕組みを目下作ろうとしています。

メルカリのようにフリマ(フリーマーケット)アプリを使って消費者同士が直接売り買いをする二次流通の市場も拡大していますが、世界的に見ればファッションは成長産業です。ネットを駆使し、国境を越えたビジネスチャンスも狙えます。

海外に店や会社を作らなくても、ネットならそのまま自国で売るのと同じ商品を売ることができます。「越境EC」と呼ばれるこの手法は、ファッション販売でも成長が見込まれています。

どこでも受け取れる仕組み作り

前項でみたECの拡大は、商品を生産地から客の手に届けるまでの物流の改革を業界に課題として突きつけています。実店舗にない商品は、ネットで買う、あるいは別店舗から取り寄せ、自宅や最寄りの店舗で受け取るなど、客の利便性に応じて柔軟に対応する仕組みが当たり前となりつつあります。このため、これまで実店舗とECで別々に保管していた在庫を一緒に管理する動きが進んでいます。

在庫の一元化は、一つの倉庫でリアルとネットの在庫を持つ、ということだけではなく、製造工程から商品の位置情報や生産の進み具合を把握することも含みます。

ICタグと呼ばれる商品情報を工場、本社、店頭のどこでも把握できるツールがアパレル流通の現場では導入が進んでおり、今後、客の要望に応じて最適の方法で商品を届ける仕組み作りが進むと予想されます。

生産現場と店頭結ぶ動きも

国内で販売されるアパレル製品は、97%以上が中国や東南アジアなど海外で生産されています。アパレルや専門店が外部の企業に委託するODM(相手先ブランドによる設計・生産)・OEM(相手先ブランドによる生産)が主流です。

そのため、生産や海外の物流の情報が分断され、納期が遅れたり、予期せぬ不良品が発生するリスクが常にあります。

そこで、現在では、アパレルや小売りが生産を請け負う企業に頼らず、直接工場に発注する「直接貿易」(直貿)も増えています。

ICタグを使い、製品がサプライチェーンのどの段階にあるかを把握することがこれまでより容易にできるようになりました。PLM(製品ライフサイクル管理)と呼ばれるソフトウェアを導入し、小売業やアパレルが生産を委託する企業と連携し、自前で生産管理を強める動きも始まりつつあります。

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