最新版!【アパレル業界・基礎講座】服はどの販路でどれだけ売れているのか? 衣料市場構造編

  • 2020年02月12日更新
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この記事は、今からファッション・アパレル業界を目指す就活生の方、ファッション業界でこれから働き始める人たちに向けて、市場の成り立ちや規模、業界構造、最新のトピックなど必要な知識を、ファッションビジネスの総合情報紙「繊研新聞」の記者がお伝えする基礎講座です。

まずは、「データで見るファッションビジネス」で、日本のファッション市場について学びましょう。第2回の今回は日本の衣料市場構造についてみていきます。

前回の記事では、日本の衣料消費市場の規模が金額、供給数量、平均単価が過去10年間、どのように推移してきたか、そして消費者の所得やファッションに費やす金額、購入数量がどのように変化したかを見てきました。今回は消費者がどんな場所で服を買っていて、それがどのように変化しているかを見ていきます。

【前回の記事はこちら】最新版!【アパレル業界・基礎講座】日本のアパレル市場の規模は?

市場規模と価格の変化は?

\POINTはここ!/

・金額はここ数年横ばい

・供給量は増加傾向に

・価格は3年連続低下

下記のグラフ①は、過去10年間の衣料消費市場規模の金額と供給数量を棒グラフで、平均価格を折れ線グラフで表したものです。金額ベースはリーマンショックのあった08年を境に09、10年と減少しましたが、11年からは8年連続で増加し、18年は9兆7900億円となりました。

一方、供給数量は09~10年にかけてファッション消費の低迷で減少したものの、その後は所得が増えない中、低価格品の需要が高まり、11~13年にかけて40億点超えで推移しました。14~15年には減少に転じ、40億点台を割り込みますが、これは円安で海外生産コストが上昇した影響です。

金額ベースの市場規模が11年から微増とはいえ右肩上がりで推移しているのに対し、供給数量が増減を繰り返しているのは、ファッション消費において、価格が購買を左右する大きな要素だからです。リーマンショック後の10~13年までは低価格分野品を中心に供給が増えました。

14年からは円安の影響で服の値段は上がったため、供給数量が減っても金額ベースの市場規模は拡大を続けたわけです。ただ、生活防衛意識の根強い消費者は服の値上がりを機に買い控えたため、ファッション業界は16年から再び価格抑制に乗り出し、これに伴い、服の平均単価は3年連続で低下しました。

服はどこで売られている?

\POINTはここ!/

・専門店の伸びが続く

・百貨店、量販店は減少

・ECけん引し通販増

では、服はどこで売られているのか。ファッションを販売する小売業態を百貨店、量販店、専門店、ECを含む通信販売の四つに分け、過去10年間の伸び率を表したのがグラフ②です。販路別で見ると、この間もっとも規模が拡大したのが専門店です。11年から8年連続で金額ベースの規模が拡大しています。

専門店が伸びた理由は、この10年間、出店立地となるSCが全国で増えたためです。セレクトショップやチェーン店の店舗数が増え、専門店のシェアが拡大しました。

また、グラフを見ると、過去10年、通販が一本調子で拡大を続けているのが見て取れます。これはゾゾタウンなどファッションに特化したECモールが伸びたことに加え、アマゾンや楽天などもファッションの販売に力を入れていること、専門店や百貨店も自社ECを拡大していることなど、ネット販売がファッションビジネスで広がったことが背景にあります。

一方、百貨店、量販店の衣料品の販売規模は、過去10年、一貫して売り上げ規模が減少しています。百貨店の主力商品である中~高級品の販路としてセレクトショップなどが台頭し、日常的に使う手頃な価格帯の衣料品は量販店に代わってユニクロやファストファッションなどが担うようになったためです。

販路別シェアの変化は?

\POINTはここ!/

・専門店が6割弱まで上昇

・通信販売が10年で急拡大

・総合小売業はシェア低下

四つの販路の市場に占めるシェアの変化を見ていきます。グラフ③は百貨店、量販店、専門店、通信販売の売り上げ規模の割合を09年と18年で比較したものです。百貨店と量販店は09年には合わせて4割強のシェアを占めましたが、18年には3割弱までシェアが低下しています。

これは前項でも見てきた通り、専門店の台頭に伴い、総合小売業である両者のファッション販売における地位が低下したためです。中~高級分野の服は駅ビルやファッションビルに入居する専門店、日常的に使うベーシックな服はユニクロ、廉価なトレンドの服はH&Mやしまむらで買うのが今や当たり前になりました。

専門店のシェアは09年時点ですでに市場の5割弱を占めていましたが、10年間でさらに店舗数が拡大し、18年には全体の6割弱を占めるまでになりました。通信販売もこの間、シェアを拡大し、1割に満たなかったシェアは18年には15%まで拡大し、規模で量販店の衣料品販売を上回りました。

通信販売にはカタログ販売やテレビ通販も含まれますが、市場シェア拡大を支えたのはECです。10年前はまだパソコン経由での買い物が主流でしたが、スマートフォンの普及に伴い、携帯端末経由でいつでもどこでも手軽に服を買うことができるようになり、そのことがECの拡大につながりました。

売れる服の価格帯は?

\POINTはここ!/

・低価格はシェア拡大

・中~高級分野は微増

・価格訴求の流れ根強く

過去10年で服の販路としては、百貨店、量販店のシェアが低下し、両者と入れ替わる形で専門店が伸び、近年ではECが著しく伸びていることをこれまで見てきました。次に市場を価格帯で分けて見ていきます。グラフ④は過去10年の市場規模の推移を低価格分野と中~高価格分野に二分したものです。

ここではブランドやテイストを問わず、低価格分野をシャツやカットソー、ニットなどトップが1000~4000円、ボトムで2000~4000円、アウターが1万円程度まで買える服とします。一方、中~高価格はトップが1万~2万円前後、ボトムで1万5000円以上、アウターで2万~3万円を裾値としています。

この基準で二分した、市場で売られる服の価格帯の分布を見ると、中~高価格分野は09~10年の消費低迷期に規模が縮小し、その後増勢に転じましたが、18年の市場規模は09年比で2.6%増にとどまり、この10年、ほぼ横ばいの状態が続いています。

一方、低価格分野は過去10年で24%増となりました。シェアも10年前の4割強から、15年以降は47%強の水準を維持しています。低価格分野が市場の半分近くのシェアで定着したことはは、消費者にとって、ファッションは手頃な価格で買えるのが当たり前となっていることを示しています。

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