【アパレル業界・基礎講座】 消費・市場規模編 日本でどれだけ服は売れている?

  • 2017年12月27日更新
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今からファッション・アパレル業界を目指す就活生の方、ファッション業界でこれから働き始める人たちに向けて、ファッションビジネスの総合情報紙「繊研新聞」の記者が業界の基礎知識を紹介します。

今回は、日本の衣料消費市場の規模について最新の分析を交えてみていきます。

Q日本の衣料消費市場の規模は?

ポイントはこの3点!

  • 16年は9兆6500億円
  • 直近2年で成長率は鈍化
  • 選別購買指向強まる

日本では服がどれくらい売れているのでしょうか。ファッション消費の中で、衣料品の市場規模がどのくらいの大きさなのか、金額ベースでの推移を表したのがグラフ①です。直近の16年の市場規模は、繊研新聞社の推定では9兆6500億円で、前年に比べ0.5%増加しました。

過去10年推移を見ると、リーマンショックの起こった08年以降、市場規模は縮小に転じ、09~12年までは9兆円以下の水準が続いていましたが、13年以降は9兆円超えの水準に回復し、市場規模は16年まで6年連続で増加しています。ただ、15年に比べると、16年の伸び率は微増にとどまっています。

(画像 Kametaro / Shutterstock.com)

09~12年の景気低迷期は、ファッション業界で低価格品が市場を席巻しました。ユニクロやしまむらの業績が伸び、ジーユーの「990円ジーンズ」がヒットし、H&Mやフォーエバー21など海外大手小売りの日本進出が話題になるなど、安い服がもてはやされた時期でした。

その後、低価格ブーム自体は沈静化しましたが、14年の消費増税で消費者は選別購買傾向を強めました。価格帯やテイストを問わず、価格と価値のバランスが優れた服を売る店やブランドが市場で支持されるようになり、企業間の優勝劣敗の構図が鮮明となり、結果、市場規模全体の伸び率が鈍化しました。

Q市場への供給量と値段は?

ポイントはこの3点!

  • 16年は37億2360万点
  • 14、15年より若干増加
  • 消費者の低価格志向続く

次に日本の市場にはどれくらいの枚数の服が供給されているのかを見ていきましょう。グラフ②は、日本で1年間に市場に供給される服の数量と、金額ベースの規模から割り出した服の平均単価が07~16年までの10年間、どのように変化してきたのかを表したものです。

16年の衣料品の市場への供給量は37億2360万点で、前年比1.4%増加しました。過去10年間で見ると11年から40億点超えの水準が3年続き、その中でも41億点を超えた13年が供給量のピークです。この増加は消費不況に伴うファッションの低価格化がこの時期、進んだためです。

安い服を供給できた理由は、1ドル=80~90円台の円高が10~13年まで続いたからです。日本で売られる服はほとんど海外生産のため、円高は調達コスト抑制につながり、価格を引き下げることが出来ました。実際、金額ベースの市場規模を数量で割って単純計算した服の平均単価もこの時期は低下しています。

その後為替が円安に振れて調達コストは上昇、また消費増税で、服が売れなくなり、供給数量は14、15年と2年連続で減少し、平均単価も上昇しました。

ただ、16年は為替が前年より若干円高に戻ったことで、根強い価格志向に応える動きが出て、供給量が若干回復し、平均単価も前年より低下したわけです。

Q消費者が服にかけるお金は?

ポイントはこの3点!

  • 家計支出は10年で5%減
  • 服に使う金額は16%減
  • 不要不急の消費を抑制

これまでに日本の衣料消費市場の規模がどのように変化してきたか見てきました。金額ベースでは11年以降増加が続いています。一方、供給数量は11~13年の3年、40億点規模が続きましたが、その後は消費不況や円安の影響もあり、14~16年はピーク時より5~10%少ない供給量が続いています。それがファッションの購買動向のどのような変化を意味するのか、一般的な家庭が消費支出全体の中でどれくらいの金額を服に使っているかの推移から見てみます。別表は家計に占める消費支出とその中でファッションに当たる「被服及び履物」への支出が過去10年でどのように変化したかをまとめたものです。

16年の1世帯当たりの月平均の総支出は10年前に比べ、5.2%減少しています。一方、「被服及び履物」への支出は15.9%減少しています。ファッションへの支出が大きく減っている理由の一つは、景気回復の実感が乏しく、不要不急の消費を抑えようという意識が働いているためと言えるでしょう。

ファッション業界は服の価格を下げてこれに対応してきましたが、直近3年は円安で調達コストが上昇し、服の価格を上げざるを得なくなりました。この結果、服の価格が上がり、インバウンド(訪日外国人)や学生の購買などを除いた、家計支出に占める服に使うお金が減っていったということになります。

Q服を買う枚数の変化は?

ポイントはこの3点!

  • 13年まで値下げで購買維持
  • 14年から価格抑制限界に
  • 購入点数は減少続く

金額ベースでの規模と供給数量の推移、そこから算出できる衣料品の平均単価の変化から分かるのは、景気低迷で服が売れにくくなった時期、日本のファッション業界は服の価格を引き下げ、需要を喚起してきたが、ここ数年は円安などによる調達コスト上昇で、価格を維持することがが難しくなってきているということです。

それを示すのがグラフ③です。家計支出に占めるファッションへの支出額と服の平均単価の推移とその二つから割り出した、一般的な家庭で年間どれだけの服を買っているかを、07年を基準に16年までの10年間でどのように変化してきたかを見ることができます。

グラフを見ると、服の平均単価が13年まで一般的な家庭に暮らす消費者が家計支出に占めるファッションへの支出金額を抑えるのにぴったり寄り添うように下がっていることが分かります。その結果、服の年間購入枚数も、07~13年は60枚前後の水準を維持できています。

この状況は14年から変わりました。円安や消費税アップで平均単価が上がり始め、服への支出も増えないので、平均単価が9%上昇した15年の購入枚数は50枚程度になりました。この傾向は平均単価が若干下がった16年も続いており、家計支出の総額から服に回す金額はさらに減少しています。

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