【アパレル業界・基礎講座】メーカーを知る① 「総合アパレル」の成長と今日の課題とは?

  • 2018年05月31日更新
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これまでに服を作る材料である糸や布がどのようにして作られるのか見てきました。今回は業界構造アパレル編として、服をデザイン、生産し、小売りに供給する企業について学びます。

アパレルメーカーには主に百貨店向けの大手総合、個店や中小規模のチェーン店向けの専門店向け、イオンやイトーヨーカ堂などの量販店向けの3種類があります。ただ、流通構造が変わる中、作る商品や売り先は変化しています。

今回はこの中から、百貨店向けの「総合アパレル」についてご紹介します。

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Q 総合アパレルの定義と現状を教えてください

総合アパレルとは婦人服や紳士服、ベビー子供服、インナーなどの最低2部門以上を扱うアパレルメーカーを指しています。50年代後半から70年代初頭の高度経済成長期に急成長しました。この時代、ファッションの販路の主役は百貨店で、総合アパレル各社は百貨店向けに海外デザイナーから許諾を受けたライセンスブランドや、自社で開発したオリジナルブランドを販売していました。

しかし、90年代以降の不況から状況は大きく変化して、多くのアパレルメーカーが構造改革に取り組んでいます。

現在、総合アパレルメーカーはEC事業を重点施策に据え、収益改善に向けた構造改革を進めています。16年以降、国内EC(BtoC=企業対消費者取引)市場は15兆円を突破しました。物販での「衣類・服装雑貨等」分野のEC化率も10%を超えています。実店舗を軸にした小売りがなくなることはないでしょうが、ファッションをネットで買うことが当たり前になりつつある時代に沿った動きが総合アパレルでも増えつつあります。

TSIホールディングスはEC事業で各子会社におけるECと店舗との連動を強化しています。グループ外のEC事業者との在庫連携やスマホアプリの導入によるマルチデバイス化の促進などで、集客力が拡大しています。越境EC強化に向けても「中国での現地パートナーを見極める」として拡大を狙っています。

TSIホールディングス アルページュのレディスブランド「アプワイザー・リッシェ」

オンワードホールディングスは、17年2月期のEC事業の売上高が国内・海外合計で150億円を突破しました。国内ではオンワード樫山が110億円を超えています。国内では会員向けポイントサービス「オンワードメンバーズ」会員数で210万人を目指し、ECを含む顧客基盤の拡大を進めて、現在進行中の中期経営計画の最終年度にあたる19年2月期には360億円に拡大する計画です。

総合アパレルメーカーのプラットフォーム(PF)事業も活発化しています。アパレルとして培ってきた生産・販売のノウハウや仕組みをグループ外の企業にもオープン化する動きです。PF事業の充実でグループ全体の利益を改善し、業界活性化にも貢献する手法です。

ワールドは昨年6月に日本政策投資銀行(DBJ)と共同し、ファッション産業を投資対象とした運営ファンド「W&Dデザイン投資事業有限責任組合」(W&Dデザインファンド)を設立。ワールドグループの事業運営ノウハウや、生産から販売までのファッション事業の支援サービスの活用に加え、DBJが培った金融ノウハウを生かす構えです。

TSIホールディングスは昨年9月、販売子会社エス・グルーヴを発足しました。同社はグループ内事業会社の販売機能受託を主力にしながら、人材派遣業及び有料職業紹介業、教育研修・販売指導、FCなどへのファッションビジネスコンサルティング事業も行う考えです。

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