【服飾系専門学校に聞く】ウチの期待の星!㊦

  • 2019年11月29日更新
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服飾系専門学校には、専門分野に特化した教育内容にひかれ、目的意識の高い学生が集まっています。高校から服飾を専攻した人、大学既卒者や社会人経験者、海外留学生など多様な人材が、知識や技術の修得、課題の制作に励んでいます。学内外のコンテストに意欲的に挑戦したり、忙しい合間を縫ってSNSなど活動の場を広げる精力的な学生も多くいます。

今回は、夢の実現や自分の可能性を広げるために力を注ぎ、各校が期待をかける専門学校生の思いや学生生活の一端を紹介します。

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◆服飾を一生の仕事に

名古屋ファッション専門学校 ファッションマスター科3年 柄澤琳さん

「自分がカッコいいと感じるとか、着たいとかではなく、どんな服が望まれているのか、着心地はどうなのかを意識することの大切さ」を、学んだことの一番目に挙げる。「千年大賞」(ヤギメセナファンデーション)の審査員からの「環境設定を大事に」という講評を常に念頭に置いている。

入学以来、パタンナーになりたいという強い思いで学んできた。学内外のコンテストで何度も受賞した実力は先生の折り紙つき。しかし、パタンナーの道を志すまでには、寄り道があった。教師を目指して4年制大学に進み、卒業後は講師として小学校に勤めたが、服飾の道との間で心は揺れていた。一生の仕事にしていけるのは何かを考えるなかでパタンナーを選択した。

「平面を立体に起こすパタンナーの仕事はデザインよりもカッコいいと憧れて入学した。実際に学んで、やりがいを感じている」。数ミリの違いで仕上がりが異なり、明確な正解のないパターンの技術は「どこまでも追究できる」のが大きな魅力だ。「企業からの評価が高い伊藤千春先生ですら、今でも勉強を続けている」姿に、パターンの仕事の奥深さを知らされた。「業界から必要とされるパタンナーになる」ことが将来の目標だ。

服はライフスタイルの一部と考える。サステイナブル(持続可能)なブランドが好きだが、リアルファーも好き。まだ知らない知識を得るため、高くて買えないブランドにも触れ、裏地や裾の始末、ダーツのたたみ方などを目に焼き付ける。たまに帰る実家では、あふれる自然に浸りながら、畑で働く人の服を思い描く。教師ではない生き方を両親からは反対された。「一人でやっていけるなら」という条件をクリアし、就職に向けて頑張り続ける。

◆努力惜しまず夢実現へ

東京モード学園 ファッション技術学科4年 チェン・イェン・ヤンさん

「まだアジアの女性が少ないオートクチュールのブランドで働きたい」と、勉強にもコンテストにも意欲的なチェンさんは香港出身。5歳の時にオートクチュールのショーを見て、華やかさに衝撃を受け、将来の道を決めた。インテリアデザイナーの父に2歳から絵を教わり、小さいころから絵のコンテストでの受賞歴は多いが、「パターンも縫製もハイレベルな日本でファッションを学びたい」と母国ではグラフィックデザインの学校を卒業。20代になって来日した。

日本語学校に通い、グラフィックの会社で働いてから15年秋、設備や教員の支援態勢が充実したモード学園の夜間部に入学。次の目標を米国・パーソンズへの留学と決めて昨年、留学費用を学校が支援する制度が利用できる昼間部に転籍。クラスの授業以外にテキスタイルやCAD(コンピューターによる設計)の短期講座を受け、オパール加工など独自の生地を作る技術も習得。「入学してからすごく成長したけれど、まだ足りない」と4年から技術科に移り、パターンの腕を磨いている。

「服も時代背景や経済の影響を受けていて、コンセプトで時代を表現することが重要と学んだ」と話し、制作ではコンセプト作りとアイデア出しに時間をかける。創造のためのインプットも必要なので美術館に行き、コンセプトの表現法を研究したり、素材や技術の研究、先生の意見を聞くことも大事にしている。

入学以来、数々のコンテストに積極的に応募。素材の色や質感、付属の見え方も、デザイン画通りになるまで何度も修正し、昨年は新宿ファッションフィールドで大賞と観客賞、今年はユミ・カツラ・アワードの桂由美賞ほかを受賞。ポートフォリオの完成度の高さには校内でも定評があり、多くの結果を残している。米国留学を目指し、電車内などで英語の勉強も開始。夢の実現に向けて努力を惜しまず、成長を続ける期待の星だ。

◆基礎力を蓄えつつ独自表現

エスモードジャポン東京校 ファッションクリエイティブ学部総合コース2年 ウェン・ディエン・ジェム・シュアンさん

中学生の時、ストリートスナップ誌『フルーツ』を見て「カジュアル一色の米国と違い、個性を表現できる日本の原宿系ファッションが好きになり、中高時代は毎日、違うスタイリングで通っていた」と話すベトナム系米国人のディエンさん。

父との約束でヒューストンの大学に進学し、言語学を学んで卒業後は韓国で就職。5カ国語を話せる語学力を生かし、英語教師や通訳の仕事をしながら韓国語の勉強も続けた。「経済力と自信がついたら好きなファッションの仕事がしたい」と副業でスタイリストを始め、物作りの方が好きな自分に気が付いた。

「ファッションを学ぶなら、細やかな仕事ぶりが光る憧れの日本で」と韓国で1年、日本で1年、日本語学校に通い、28歳でエスモードに入学した。親身になって面倒をみてくれ、パリ留学コースがあり、デザインとパターンの両方を学ぶ教育課程にもひかれ、同校を選んだ。

パターンについて論理的に学び、細部まで計測してトワルを組み、販売できる水準の作品に仕上げていく授業は「大学の何百倍も大変だけれど好きな勉強ができて幸せ」。習った技術を試し、自分なりに納得できる形を期限のぎりぎりまで探るため、徹夜も多い。探究心が強く、方向性が見えている点は教員からも評価されている。一方、絵の表現が弱いと言われ、時間があれば絵を描き、様々な着色を練習し、苦手を克服した努力家だ。

入学から3カ月でデニムのコンテストに参加し、在庫を利用したリメイクのリアル服でリーバイス賞を受賞。独自のデザイン提案が認められたことがうれしく、志望をパタンナーからデザイナーに変更した。デザインの構築法やパターンの論理など基礎を学び、パリ留学や就業体験で応用力と国際力を養ってから、日本のデザイナーブランドに就職するのが今の目標。十分な知識と技術が備わったら、友人とブランドを立ち上げることが将来の夢だ。

◆校長推薦・ウチの逸材 パターン技術習得に全力

中部ファッション専門学校 スペシャリスト学科アパレルパターンコース3年 佐野未侑さん

2年生の夏にパターンメーキング技術検定1級に合格した。来年2月の卒業研究発表に向け、「変形テーラー」をテーマにした縫製仕様やパターンの研究に精力を注ぎながら、志望するパタンナーへの就職活動に励む。子供のころに母が作ってくれた服がとてもうれしく、自分も作れるようになりたいと夢を抱いた。名古屋市立桜台高校ファッション文化科を経て、パタンナーを目指して学び続けてきた。

「コンテストに応募するために時間を使うよりも、その分、勉強した方が良い」と考え、パターンの技術を学び、身につけてきた。そんな姿勢を先生は「前向きで明るく、真面目」と高く評価する。

「いろんなことを知りたい」とパターンに限らず関心事を広げる。メディア・ユニバーサルデザインのアドバイザー資格を昨年取得し、色覚障害者の見え方を学び、服作りに生かしたいと考える。後輩には「何にでも好奇心を持って、気になったこと、好きなことを追求して欲しい」と話す。

(おわり/繊研新聞6月27日付より)

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