【服飾系専門学校に聞く】ウチの期待の星!㊤

  • 2019年11月22日更新
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
S624x416               42

服飾系専門学校には、専門分野に特化した教育内容にひかれ、目的意識の高い学生が集まっています。高校から服飾を専攻した人、大学既卒者や社会人経験者、海外留学生など多様な人材が、知識や技術の修得、課題の制作に励んでいます。学内外のコンテストに意欲的に挑戦したり、忙しい合間を縫ってSNSなど活動の場を広げる精力的な学生も多くいます。

今回は、夢の実現や自分の可能性を広げるために力を注ぎ、各校が期待をかける専門学校生の思いや学生生活の一端を紹介します。

◆人を感動させる服作りに力

文化服装学院 ファッション高度専門士科2年 石川泰生さん

北海道・苫小牧出身で、子供のころから女の子とままごとをすることが多かった。高校に入って原宿系ファッションに興味を持ち、『ヴォーグ』を毎月購読するなど一気にファッションに傾倒。「人見知りで服をよろいに、古着でジェンダーレスな着たい服を着て街に出掛けるようになり、服を通じて人脈と世界が広がった」。高2の時に札幌のファッション団体に加入し、SNSで発信を始めてマツコデラックスさんのテレビ番組にも出演。当時から4000人以上のフォロワーをもつプチ有名人だ。

好きなファッションで生きていこうと決意し、「世界を目指す足掛かりに東京で4年間、みっちり勉強して学生のうちにブランドを立ち上げたい」と高度専門士科に入学。素材の知識や体形研究、デザインの方向性、着るための売れる服作りなどを学び、1年でファッションに対する考え方が変化した。好きなデザイナーの店舗が集まる表参道に通い、パターンの巧みさや縫製のすごさなど新たに発見することも多く、刺激的な毎日だ。

課題が多く、通学の1時間しか寝られない辛い時期もあったが、「ファッションで人を感動させたい」と、思い通りに表現できない悔しさを感じつつ服作りに力を注いでいる。人に何を訴求すべきか考える勉強になるため、コンクールにもドンドン応募中だ。インスタグラムやツイッター、ユーチューブでの発信も続け、〝やすおちゃん〟の芸名でテレビや百貨店のトークショーにも出演。「いろんな経験が将来の役に立ち、今は大変でも乗り越えれば成長できる」と思い、芸能活動を続けている。

ネイチャーをテーマに、地球環境に害のない次世代のためになり、ボーダーレスなブランドを立ち上げるのが夢。服を通じてリアルに環境問題に気付いてもらえる力をつけたいと、授業や実習で研究に励んでいる。

◆集中力強みに衣装の道

上田安子服飾専門学校 ファッションクリエイター学科オートクチュールコース舞台衣装専攻3年 三分一彩乃さん

小学校時代からバトントワリングを続けて15年。今は教える立場が中心だが、過去には個人や団体競技で全国大会に出たこともある。大会で着る衣装は、母親ら保護者が演技や曲に合うものを考えて手作りしてくれていた。こうした経験と、学校見学で舞台衣装を専門的に学べる学校があると知ったことから、上田安子服飾専門学校に入学した。

「裁縫は割と好きで、自分で服を作った事もあった」が、デザインや型紙を本格的に学んだのは初めて。1年次は苦労も多かったが、バトントワリングで身に付けた集中力で乗り越えた。

これまで学校で印象に残った経験は、2年次に授業でプロと協業し、舞台衣装を作った時のことだ。自身のデザインが選ばれ、業者に製品化を依頼したのだが、縦で指示したプリーツが横方向で上がってしまうトラブルが起きた。納期まで残された時間は少なかったが、「中途半端なことはしたくない」と、臨機応変に対応し、最後まであきらめずに仕上げた。

ロサンゼルス研修に参加して貴重な経験もした。特に動いているシーンを素早くドローイングする授業や、曲からイメージした衣装をグループ制作する作業が新鮮だった。

今後はデザインに、もっと磨きをかけることが目標だ。6月の「上田学園コレクション・プレタポルテ2019」では、カッティングや生地の組み合わせと分量感を生かし、ダイナミックな表現を実現したパンツスタイルを見せた。卒業後は「衣装を作れる会社に就職したい」と考えている。

◆パターンで良さ実感できる服を

大阪文化服装学院 スーパーデザイナー学科4年 金谷太雅さん

左から2人目が金谷さん

ビッグカラーのオーバーサイズライダーズジャケットに、ヘビーオンスデニムを用いることで一段と迫力のあるものに――父も好きなアメカジをベースにした作品は、19年4月に英マンチェスターで開かれたIFFTI(国際ファッション工科大学連盟)の学生デザインコンペティションでグランプリに選ばれた。自身にとって初のデザインコンテストだったが、長所である「思い切りの良さ」を発揮した。

幼稚園から高校3年生までサッカーに打ち込んだ。「大学に行く明確な理由が自分の中で見いだせなくて迷っていた」が、自問するうちに両親と同じく「服が好き」なことに気付いた。大阪文化服装学院のオープンキャンパスに参加し、設備や全体の雰囲気が気に入り入学した。

スーパーデザイナー学科で学んでいるが、デザイナーではなく、パタンナー志望として就職活動している。パターンの重要性を実感しているからだ。「体に沿う形の服は、わずかなパターンの差が完成度を大きく左右する」。また「デザイン画でいいと思ったものが、生地で製品化すると良くないこともある。生地をボディーに乗せてから、いいディテールや形が出てくる場合もある」と話す。

「先のことを見据えていくことは苦手」と言うが、今後の目標は、「企業に就職して、もっとパターン技術を磨くこと」だ。「動きやすさなどの〝違い〟が、着てみてはっきりと実感できるような服作りを目指したい」と続ける。

「『ファッション業界に行くと苦労するよ』と言われることもあるが、自分の好きなこと(服作り)をやりたい」。「もし、苦労しても、自分は追い込まれた時の方が燃えるタイプ」と笑顔を見せる。

(㊦に続く/繊研新聞6月27日付より)

    関連する記事

    この記事に関連するキーワード

    新着のお仕事最近公開されたお仕事

    話題のキーワードキーワード一覧

    月間ランキング月間アクセスランキング

    週間ランキング週間アクセスランキング