
目次
- そもそもデザイナーとはどんな仕事?
- デザイナーブランドでの働き方
- 企業デザイナーの働き方
- デザイナーに求められる能力は?
- まとめ
そもそもデザイナーとはどんな仕事?
みなさんご存知、アパレル業界の花形職種です。
その名の通りデザインを主な業務とする職種ですが、単にデザイン画を書くだけが仕事ではありません。実際には、商品の企画から仕様書の作成、展示会の準備、サンプル修正や納品前の商品チェックなど業務内容は多岐に渡ります。
また、通常のアパレル企業に勤める「企業デザイナー」と「デザイナーブランドのデザイナー」では仕事の中身が大きく変わってきます。
その理由は、極端に言えば「多くの人に買ってもらうことを意識したアパレルブランド」と「ファッション好きを狙った個性的な洋服を作るブランド」で、ブランドとしての在り方や作り方が違うからです。
前者ならば多くの人に支持されるマストレンドを的確に取り入れることがデザイナーにとっても大切なポイントになってきますし、後者になれば「他の人と同じ服を着たくない」という消費者に響くクリエイティビティーのほうが重要になってきますよね。
みなさんの目指すデザイナーはどちらでしょうか?
デザイナーブランドでの働き方
デザイナーブランドのデザイナーに求められるのは、自身の強烈な個性や世界観を武器に、自らのポリシーを前面に打ち出すこと。それこそが存在価値であり、「他にはないクリエーションをどれだけ生み出せるか」がカギになってきます。
みなさんがぱっとイメージするデザイナーはこのタイプが多いのではないでしょうか?
また、自身でブランドを立ち上げる場合にもまずはクリエーション力が大切になってきます。様々なスキル・人脈などを身につけるためにも、まずはアパレル企業に勤めてから、独立するケースも多いですね。
独立デザイナーの1日とは
では、オリジナルブランドを手掛けるデザイナーは実際にどんな一日を過ごしているのでしょうか?
テンボデザイン事務所 代表デザイナー/鶴田能史さんの1日を参考にしましょう。
【一日の仕事スケジュール】
- 07:00 起床。事務所から近い場所に住んでいるので、徒歩で出勤
- 09:30始業開始。事務所の掃除が毎日の習慣。掃除後にはメールチェックをする
- 10:00 facebook、twitter、instagramなどのSNSをチェック。WEBの発注やFAX、配布物の送付などを行う
- 12:00 お昼休み。事務所の下の階のコンビニエンスストアのお弁当が多い。最近のお気に入りは幕の内弁当
- 13:00 1日1組以上の来客がある。来客は業者だけでなく、障害者の方たちが来訪することも多い
- 15:00 来客以外の時間にはアトリエ内で服の制作なども行う。現在もファッションショーに向けて様々な服を作っている
- 21:00 定時は18時だが、ファッションショー前は遅くまで働くことも少なくとも21時には仕事を切り上げるよう心がけている
<テンボデザイン事務所 代表デザイナー/鶴田能史さんのプロフィール>
学生時代は3年間、無遅刻無欠席で、往復5時間かけて学校に通ったという真面目な性格。学校を卒業してからは企画職、ヒロココシノでライセンスビジネスなどを経験後、2015年1月にテンボデザイン事務所を設立。
企業デザイナーの働き方
一方、企業に勤めるデザイナーの場合は、アパレル市場の動向や顧客のニーズ、トレンドなどを踏まえ、担当するブランドのコンセプトに沿ってデザインすることが主な仕事になります。
だからこそ、社内の様々な職種とのコミュニケーションが重要になります。
特に関わり合いが深いのが、MD(マーチャンダイザー=商品計画を考える職種)。協力してシーズンプラン(※)を練るなど、商品化の根幹を担う作業をともに担当します。
※シーズンプランとは各アパレルブランドのシーズンの方向性を示したもの。マーチャンダイジングのテーマやコンセプト、イメージ、価格政策、素材傾向、カラー傾向、商品構成、展開計画などを集めた基本設計にあたります
具体的な流れでいうと、デザイナーなデザイン画の作成のあと、MDとともに素材、副資材、カラー、パターンなどを選定し、その後、ファーストサンプルを作成。ブランド関係者を交えて改良を加えます。
さらに修正サンプルの制作、アパレル展示会への出品などの作業を経て、商品をチェックし、MDとともに製品化に向けた最終判断の役割を担うことになります。
MDだけでなく、パタンナーなど多くの人々と協力して仕事をすることも多いので、企業デザイナーにはコミュニケーション能力の高さも求められてきます。
デザイナーに求められる能力は?
アパレル業界のデザイナーである以上、クリエーティブなデザイン能力が前提として必要です。特に今のアパレル業界はブランド・商品の同質化が深刻な課題となっており、デザイナーが担う役割は非常に大きいと言えるでしょう。また、自身の思い描くデザインを形にするためにも素材やパターン、縫製などの専門知識も必要になってきますね。
さらに、当然のことながら、デザイナーはアパレルの市場や社会全体の動き、消費者の嗜好(しこう)などにも敏感でなければなりません。そうした環境の変化が消費者の購買意欲、トレンドなどに密接に関わってくるからです。
上記の企業デザイナーの例のように、幅広い職種との連携も求められてくるため、自身のイメージを的確に相手に伝えられるコミュニケーション能力も欠かせません。これは独立したデザイナーも同じ。競合の多いアパレル・ファッション業界で独自のポジションを築くには、生産関係だけでなく、メディアなどのプレス関係、他ブランドとのつながりなど、ネットワークの構築も大事になってくるでしょう。
コミュニケーション能力、チームで働くことの大切さは、「ソマルタ」デザイナーの廣川玉枝さんもアパレル業界の専門紙「繊研新聞」のインタビューで次のように応えています。
チームの中でもの作りをしていくから、デザイナーはコミュニケーション能力が高くないといけません。私はそれが苦手で、最初は苦労しました。もっと意識的に対話をしないといけないって気付いたのは、入社3年目のころです。デザインチームの中で自分が作ったものをプレゼンする機会が週1回あって、うまく伝えられなくていつももどかしかった。その時、日常の中でもっとチームと対話をしていれば、お互いに頭の中がクリアになって、うまく伝わるんじゃないかと気付いたんです。
それまでもコミュニケーションはしているつもりだったけど、不十分でした。皆とあまりしゃべらないとか、お弁当を一人で食べるとか、そういう一匹おおかみみたいなことはせずに、仲良くする。すごく基本的なことだけど、人間と人間だから、やっぱり大事です。働くなら、楽しく充実していた方がいいですから。
若いころの苦悩は、今では血となり肉となっています。苦悩は栄養。悩むから次に行けるんです。常に修行みたいですが、そういう中で、いい人にめぐり会えてきたことに感謝しています。
まとめ
今回はアパレル業界におけるデザイナーの仕事内容や求められる能力について紹介しました。想像以上に役割が多岐に渡ると感じた方もいるのではないでしょうか。もちろん、働く環境や企業の求めるデザイナー像によっても変化しますので、これからデザイナー職の採用試験を受ける方は、しっかりと自分のイメージ・理想の働き方に近いアパレル企業を探しましょう。
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